牛肉と馬鈴薯(読み)ギュウニクトジャガイモ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「牛肉と馬鈴薯」の意味・わかりやすい解説

牛肉と馬鈴薯
ぎゅうにくとじゃがいも

国木田独歩(どっぽ)の短編小説。1901年(明治34)11月『小天地』に発表。05年刊の『独歩集』に収録。独歩における思想小説、哲学小説の代表作である。東京・芝区桜田本郷町の明治倶楽部(くらぶ)に集まった友人たちが、現実主義を牛肉に、理想主義を馬鈴薯に例えて議論を交わしている。独歩とみなされる作中の岡本は牛肉にも馬鈴薯にも従えないとして、固有の驚異思想を述べる。宇宙の不思議を知りたいという願いではなく、古び果てた習慣(カスタム)の圧力から逃れて、不思議な宇宙を驚きたいという切実な願いである。それは独歩が生涯をかけて抱き続けていた驚異の哲学である。ここでは、「驚く」ことを欲しながらも得られぬ苦悩が示されている。

[中島礼子]

『『牛肉と馬鈴薯』(岩波文庫・旺文社文庫・新潮文庫)』

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旺文社日本史事典 三訂版 「牛肉と馬鈴薯」の解説

牛肉と馬鈴薯
ぎゅうにくとばれいしょ

明治後期,国木田独歩の短編小説。1901年発表。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

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