物質に特有な物理的あるいは物理化学的な性質を利用して、化学種の鑑定、確認、検出、組成、存在比などを決定するための物理的諸操作または方法をいう。主として機器を用いて行うので、狭義の機器分析ともいうが、補助手段として化学的手法を併用する場合も含めて広く物理分析ということもある。
歴史的には、1859年のドイツのブンゼンとキルヒホッフによる分光分析法の発明をはじめとし、多くの技術や方法が開発され、とくに1950年ごろから電子技術の発展に伴い、これを高度に利用した分析機器が次々と登場し、いわゆる機器分析の時代になっている。電磁あるいは電気化学的特性を利用する方法が多いが、電子、原子、イオン、放射能、質量、熱その他あらゆる特性が利用されている。一般に、高感度で迅速性があり、試料に化学変化を与えずに分析でき、連続測定や分析操作の自動化が容易なために、化学はもちろん生物、薬学、医学、農学その他あらゆる分野で広く利用されている。
[高田健夫]