日本大百科全書(ニッポニカ) 「特定口座」の意味・わかりやすい解説
特定口座
とくていこうざ
上場株式や投資信託などで資産運用している個人投資家の納税手続が簡単になる証券会社の口座。2003年(平成15)から新証券税制が導入されたのにあわせ、制度がスタートした。簡単に確定申告できるうえ、「源泉徴収あり」という形式の特定口座を選択すれば、確定申告しなくても済む利点がある。
上場株式や投資信託を売却した時に得る利益(譲渡益)や配当・分配金に関する課税制度は、2003年に、他の所得と分離して税額を計算する「申告分離課税」に統一された。このため投資家は原則、確定申告が必要になったが、申告に不慣れなサラリーマンや主婦らに配慮して、手続が簡単な特定口座制度が導入された。
特定口座には、確定申告をしなくてもいい「源泉徴収あり」と、確定申告しなくてはならない「源泉徴収なし」の2種類がある。「源泉徴収あり」は利益が出れば証券会社が自動的に課税分を天引きし、損失が出たら税額分を自動還付してくれるため申告がいらない。「源泉徴収なし」の場合は、証券会社が年間取引報告書を作成してくれるので、申告を簡易に済ますことができる。「源泉徴収あり」を選んでも確定申告することは可能。また、「源泉徴収あり」の特定口座で確定申告しないと、他の証券会社の特定口座と損益通算できなかったり、損失の繰り越し控除を受けられないといったデメリットがある。他方、専業主婦などが「源泉徴収なし」で確定申告すると、配偶者控除などを受けられなくなる場合がある。
[編集部]