出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…原油価格は,1973年10月と74年1月の2回値上げされ,合計で4倍近くに急騰した。日本経済は,74年に戦後初めてのマイナス成長に陥り,国際収支も大幅赤字となり,狂乱物価といわれるほどに卸売物価,消費者物価ともに年率2割をこえて上昇した。74年には日本のGNPの3%近くが,価格高騰によって産油国に移転した。…
…
【石油危機以降】
[スタグフレーションとその克服]
1973年秋の第4次中東戦争でOAPEC諸国が採用した石油戦略,つづいてOPECが実施した原油価格の4倍引上げという石油危機によって,日本経済は欧米先進諸国ともどもに深刻なスタグフレーションにおちいった。すでに73年初めから過剰流動性インフレの状態にあったところへ原油高騰とそれへの便乗値上げが加わり,同年秋から74年春にかけて年率で卸売物価30%,消費者物価25%の〈狂乱物価〉が生じる一方,インフレ抑制のために採られた厳しい総需要抑制政策の結果,74年のGNP成長率は戦後はじめてのマイナスを記録した。これに対し,政府は赤字国債を含む国債の大増発によって大規模な財政スペンディングを行い,民間企業は省エネルギーと人減らしを内容とする減量経営を実施し,さらに輸出が伸張したため,76年以降経済成長率は5%台まで回復した。…
…図にみられるとおり,この時期,卸売・消費者物価指数はともに朝鮮戦争以来の20%を超える高率で上昇した。いわゆる狂乱物価である。ただし図を注意深くみればわかるように,物価は1973年すでに大幅に上昇しているのであり,これを73年秋から始まった石油危機(第1次)にすべて帰することはできない。…
※「狂乱物価」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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