碧玉(読み)ヘキギョク

デジタル大辞泉 「碧玉」の意味・読み・例文・類語

へき‐ぎょく【×碧玉】

酸化鉄などの不純物を含み、不透明で色のついた塊状石英。色は緑・赤・黄褐色など。佐渡赤玉あかだま出雲玉造石たまつくりいしなどがあり、古くから勾玉まがたま管玉に用いられた。ジャスパー
[類語]宝石たまぎょく宝玉勾玉原石金剛石ダイヤモンド玻璃石英水晶クリスタルクオーツ紫水晶アメシスト瑪瑙猫目石キャッツアイエメラルド翠玉緑玉石トパーズ黄玉オパール蛋白石トルコ石ターコイズガーネット柘榴石瑠璃鋼玉ルビーサファイア翡翠琥珀真珠パール

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精選版 日本国語大辞典 「碧玉」の意味・読み・例文・類語

へき‐ぎょく【碧玉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 緑または青色の玉。
    1. [初出の実例]「碧玉装箏斜立柱、青苔色紙数行書」(出典:菅家文草(900頃)五・重陽節侍宴、同賦天浄識賓鴻)
    2. [その他の文献]〔拾遺記‐周穆王〕
  3. 空や水などの青々としたさまをたとえていう。
    1. [初出の実例]「凡竹之為物也、藍羅剪葉、碧玉抽竿」(出典:本朝文粋(1060頃)一一・修竹冬青詩序〈藤原篤茂〉)
    2. [その他の文献]〔柳宗元‐酬曹侍御過象県見寄詩〕
  4. 非晶質の二酸化珪素あるいは石英の微細結晶の集合体。玉髄やめのうと同系列であるが不純物が多く不透明。色は黄・赤・茶褐色・暗緑色・暗青色などがあり、斑点・縞のあるものもある。美しいものは半貴石として飾り石に用いられる。佐渡の赤玉、出雲の玉造石など。〔鉱物字彙(1890)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「碧玉」の意味・わかりやすい解説

碧玉
へきぎょく
jasper

鉄分を含んだ不純な不規則塊状の石英の一種。めのうより不純物が多い。色は赤~赤褐色が典型的であるが、褐、黄褐、灰緑、褐黒色などさまざまである。赤みの強いものは、不純物として赤鉄鉱、褐色みの強いものは、不純物として褐鉄鉱が主として含まれる。斑(はん)点状、くもり状、帯状などのタイプがある。割れ口は平滑ないし貝殻状である。火山岩やその変質した部分に、空隙(くうげき)や脈を充填(じゅうてん)して産したり、層状鉄鉱床中に団塊や脈をなしたりする。火成岩の貫入に伴う珪化(けいか)作用によっても生成される。また広大な層として産する場合もある。日本では新生代新第三紀の火山岩に伴うものが多い。赤玉(あかだま)で有名な新潟県佐渡地方のものは、別名赤ジャスパーといわれるものである。また出雲(いずも)地方の勾玉(まがたま)などによく使われた島根県松江市玉造(たまつくり)温泉のものは灰緑色の碧玉である。ほかに、石川県小松市、青森県龍飛(たっぴ)岬など産地は多い。

 ジャスパーの名はペルシア語のjashmやjashpなどに由来している。古来は緑色系の半透明玉髄(ぎょくずい)などに使っていたらしいが、16世紀ころから現代の碧玉をも含めてよぶようになった。研磨して飾り石とされるが、価格は低い。

[松原 聰]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「碧玉」の意味・わかりやすい解説

碧玉
へきぎょく
jasper

ジャスパーとも呼ぶ。不純で不透明な玉髄。多くは酸化鉄によって紅,黄,褐,緑,黒などの色を呈する。硬さは石英よりやや低い。比重は 2.6~2.9で不純物が多いほど重い。色やつやにより次の種類がある。赤碧玉は俗に赤玉といい,象眼 (ぞうがん) 細工に使われ (佐渡の岩首,石川県国府) ,また庭石として珍重される。緑・青色碧玉は島根県出雲地方の玉造石 (たまつくりいし) が名高く,歴代玉造りの中心素材であるため特に出雲石とも呼ばれる。黄,褐色のまだらなものはエジプト碧玉という。成因は火成岩の活動末期に,熱水や地下水に溶けたケイ酸分が沈殿したものとみられる。考古学的には,弥生時代から古墳時代にかけて,管玉や勾玉,鍬形石,車輪石,紡錘車など装身具や実用品として出土する。日本をはじめ,中国,シベリア,イタリア,エジプト,アメリカ,アフリカなどに産出。外国では古代エジプト時代より使われてきた。

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岩石学辞典 「碧玉」の解説

碧玉

緻密な潜晶質の不透明またはわずかに透明なチャートの種類で,一般には赤色であるが黄色,褐色,緑色,黒色のものもある.普通は鉄鉱床に伴われ,この色は微粒に分散した酸化鉄と水酸化鉄の存在によっている.この語は鉄鉱床の存在と関係なく,赤色チャートの一種にも用いられる[Pettijohn : 1975].ヘブライ語でyashpheh,ギリシャ語でiaspisという.

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改訂新版 世界大百科事典 「碧玉」の意味・わかりやすい解説

碧玉 (へきぎょく)

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普及版 字通 「碧玉」の読み・字形・画数・意味

【碧玉】へきぎよく

碧い玉。

字通「碧」の項目を見る

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防府市歴史用語集 「碧玉」の解説

碧玉

 石英[せきえい]の1種で、緑色をしていることからこう呼びます。弥生時代から玉類の材料として使われました。

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世界大百科事典(旧版)内の碧玉の言及

【石釧】より

…古墳時代に使用した石製腕輪の一種(図)。碧玉(へきぎよく)と通称する緑色凝灰岩の類を材料とし,内径5~6cmの環状に作っている。円形の断面をもったものなどの,表裏の区別のない石釧もまれにあるが,大多数は裏面がたいらで,表面の上半部を斜面とし,ここに放射状のこまかい線を刻んでいる。…

【ジャスパー】より

…メノウと同じく石英の微細な結晶よりなるが,それらが半透明であるのに対して,不純物を20%程度含有して不透明なものをいう。日本名は碧玉。モース硬度7,比重2.58~2.91,屈折率平均1.54。…

※「碧玉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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