甘寧(読み)かんねい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「甘寧」の意味・わかりやすい解説

甘寧
かんねい
(?―222)

中国、三国呉(ご)の武将。字(あざな)は興覇(こうは)。巴(は)郡臨江(りんこう)県(四川(しせん)省忠(ちゅう)県)の人。若いころから任侠(にんきょう)を好み、不良少年を集めてその中心になっていた。やがて学問に感化され改心した甘寧は、志を抱いて数百人の配下の者を連れ、荊州牧(けいしゅうぼく)の劉表(りゅうひょう)に仕えたが重用されず、孫権(そんけん)に身を寄せる。周瑜(しゅうゆ)・呂蒙(りょもう)に推挙されると、孫権に父の仇(かたき)である黄祖(こうそ)の討伐を進言した。孫権は、事情をよく知る甘寧に全軍の指揮を任せ、黄祖を討ち取った。赤壁(せきへき)の戦いに勝利を収めた後、周瑜は南郡(なんぐん)に曹仁(そうじん)を攻めたが、かえって夷陵(いりょう)で曹仁の猛攻を受けた。しかし、夷陵を守る甘寧は味方の援軍が来るまで城を守り抜いた。216年、曹操(そうそう)が濡須口(じゅしゅこう)に攻め寄せると、100人余りの精兵を率いて奇襲をかけ、曹操軍を大混乱に陥れた。孫権は喜こんで、「曹操には張遼(ちょうりょう)がいるが、わたしにも甘寧がいる」と溜飲(りゅういん)を下げたという。『三国志演義』では、海賊出身の武将として淩統(りょうとう)との確執が強調される。

[渡邉義浩]

『渡邉義浩著『「三国志」武将34選』(PHP文庫)』

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