生島遼一(読み)いくしまりょういち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「生島遼一」の意味・わかりやすい解説

生島遼一
いくしまりょういち
(1904―1991)

仏文学者、評論家。大阪生まれ。京都帝国大学仏文科卒業。京都大学名誉教授。落合太郎に師事し、三好達治(みよしたつじ)と交遊があり、桑原武夫(たけお)と同学で、スタンダール『赤と黒』(1933)を共訳した。スタンダール研究家として知られる。フロベール『感情旅行』、ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会』、ジッド法王庁の抜穴』、サルトル『悪魔と神』、ボーボアール『第二の性』など、多数の翻訳がある。とくに、フランスの心理小説の研究に業績をあげ、『心理と方法』(1948)、『フランスの小説』(1955)を著し、散文の構造・機能を明らかにした。一方、日本文学に関心を向けた『日本の小説』(1953)や、文楽、能、人物論を収めたエッセイ集『水中花』(1972)がある。

[岩崎武夫]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「生島遼一」の解説

生島遼一 いくしま-りょういち

1904-1991 昭和時代のフランス文学者,評論家。
明治37年9月2日生まれ。昭和39年京大教授,のち関西学院大教授。スタンダール研究家として知られ,桑原武夫と「赤と黒」を共訳。またフローベール,プルーストらのフランス近代小説の翻訳,紹介につとめた。「日本の小説」「水中花」など評論,随筆もおおい。平成3年8月23日死去。86歳。大阪出身。京都帝大卒。

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