日本大百科全書(ニッポニカ) 「生活と芸術」の意味・わかりやすい解説
生活と芸術
せいかつとげいじゅつ
文芸雑誌。1913年(大正2)9月創刊、16年6月終刊。東雲堂書店発行。土岐哀果(ときあいか)(善麿(ぜんまろ))が石川啄木(たくぼく)と計画し、啄木の病気によって挫折(ざせつ)した雑誌『樹木と果実』の意図を実現しようとし、また『近代思想』の思想的な方向を、生活感情芸術的方面に表現する目的で創刊。執筆者は哀果、西村陽吉、安成(やすなり)二郎、矢代東村(やしろとうそん)、伊庭孝(いばたかし)、堺利彦(さかいとしひこ)、大杉栄(さかえ)、荒畑寒村(あらはたかんそん)ら、歌人や哀果の友人に及んで多彩。小説、脚本、翻訳など短歌雑誌を超えた文芸誌である。誌上の哀果と斎藤茂吉(もきち)との論争、短歌史的にはいわゆる生活派の結集としての意味も大きい。復刻版(1967・明治文献資料刊行会)がある。
[武川忠一]