松村松年(読み)マツムラショウネン

デジタル大辞泉 「松村松年」の意味・読み・例文・類語

まつむら‐しょうねん【松村松年】

[1872~1960]昆虫学者。兵庫の生まれ。和名整理をするなど、日本の近代昆虫学の基礎を築いた。著「日本昆虫学」など。

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精選版 日本国語大辞典 「松村松年」の意味・読み・例文・類語

まつむら‐しょうねん【松村松年】

  1. 昆虫学者兵庫県出身。東北帝大・北海道帝大教授を歴任。日本の昆虫学の先覚者。「日本昆虫大図鑑」などを著わし、昆虫学の普及に努めた。明治五~昭和三五年(一八七二‐一九六〇

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20世紀日本人名事典 「松村松年」の解説

松村 松年
マツムラ ショウネン

明治〜昭和期の昆虫学者 北海道大学名誉教授。



生年
明治5年3月5日(1872年)

没年
昭和35(1960)年11月7日

出生地
兵庫県明石町

学歴〔年〕
札幌農学校(現・北大農学部)〔明治28年〕卒

学位〔年〕
理学博士〔明治36年〕,農学博士〔大正8年〕

主な受賞名〔年〕
文化功労者〔昭和29年〕

経歴
明治10年に小学校に入ってから自製の捕虫網トンボなどを追ったりして7回の落第のすえ札幌農学校を卒業。新渡戸稲造にその才を見ぬかれて29年同校の助教授となり、その後東北帝大教授を経て、大正8年北海道帝大教授に就任。昭和9年定年退職するまで同大農学部昆虫学教室を主宰。この間、19世紀末のドイツ、ハンガリーへ留学し、アフリカまで昆虫採集の足を伸ばして帰国後、ウンカ新種100種を一挙に論文発表してセンセーションを巻き起こし、また昆虫和名を整理統一してモンシロチョウその他を命名創刊した昆虫学専門誌「インセクタ・マツムラナ」は生物学関係欧文誌の先鞭をつけ、著書の「日本千虫図解」は長い間ファン必携の書となった。また「日本昆虫学」(明治31年刊)は日本人による最初の教科書著作とされる。日本昆虫学会会長、国際昆虫学会議名誉会員も務めた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「松村松年」の意味・わかりやすい解説

松村松年
まつむらしょうねん
(1872―1960)

昆虫学者。兵庫県明石町に生まれる。1895年(明治28)札幌農学校を卒業、翌年同校助教授となる。1907年(明治40)に東北帝国大学農科大学教授、1919年(大正8)には前記の農科大学が独立してできた北海道帝国大学教授となり、1934年(昭和9)退官し名誉教授、1950年(昭和25)学士院会員に推され、1954年には文化功労者に選ばれた。日本における昆虫学の先覚者で、昆虫全般にわたって研究を行い、多数の新種を記載発表したのみならず、『日本昆虫学』『大日本害虫全書』『昆虫分類学』『日本千虫図解』『日本通俗昆虫図説』『日本昆虫大図鑑』など多数の著書や啓蒙(けいもう)記事で昆虫学の普及に努めた。宗教家の松村介石(かいせき)は実兄にあたる。

[中根猛彦]

『小西正泰解説『復刻 日本昆蟲学』(1984・サイエンティスト社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「松村松年」の意味・わかりやすい解説

松村松年 (まつむらしょうねん)
生没年:1872-1960(明治5-昭和35)

昆虫学者。北海道大学名誉教授,日本学士院会員,文化功労者,理学・農学博士。兵庫県に生まれる。札幌農学校(北海道大学の前身)を卒業(1895)後,母校の教授をながく務め,多くの昆虫学専門家を育成した。松村は多数の論文および著書を著し,また欧文の昆虫分類学誌《Insecta Matsumurana》を編集,刊行した。その著《日本昆虫学》(1898)は日本人による近代昆虫学の最初の単行書であり,日本産昆虫の和名を統一および創案した意義は大きい。松村が命名・記載した昆虫はおびただしい数にのぼり,〈日本昆虫学の祖〉と称されるゆえんである。
執筆者:

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「松村松年」の解説

松村松年 まつむら-しょうねん

1872-1960 明治-昭和時代の昆虫学者。
明治5年3月5日生まれ。松村介石(かいせき)の弟。母校札幌農学校の助教授となり,ドイツ留学をへて,明治35年東北帝大農科大学(のち北海道帝大)教授。日本産昆虫の和名の命名法を創案するなど「日本昆虫学の祖」と称される。日本昆虫学会会長。昭和29年文化功労者。昭和35年11月7日死去。88歳。兵庫県出身。著作に「日本昆虫学」「昆虫分類学」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「松村松年」の意味・わかりやすい解説

松村松年
まつむらしょうねん

[生]明治5(1872).3.5. 兵庫
[没]1960.11.7. 東京
昆虫学者。札幌農学校卒業 (1895) 。東北帝国大学教授 (1907) 。北海道大学教授 (19) 。日本の昆虫学の創始者。日本昆虫学会会長 (35,40,43~46) 。『日本昆虫大図鑑』『新日本線虫図解』など著書は多数。 1954年文化功労者に選ばれた。

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百科事典マイペディア 「松村松年」の意味・わかりやすい解説

松村松年【まつむらしょうねん】

昆虫学者。兵庫県生れ。札幌農学校卒。のち同校教授を経て,北大教授。日本昆虫学初期の学者の一人で,昆虫専門の雑誌《インセクタ・マツムラーナ》を創刊。著書《日本昆虫学》は日本人の手になる最初の近代的昆虫学書であり,日本産昆虫に統一的な和名を付した意義は大きい。

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367日誕生日大事典 「松村松年」の解説

松村 松年 (まつむら しょうねん)

生年月日:1872年3月5日
明治時代-昭和時代の昆虫学者
1960年没

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