産業再生法(読み)サンギョウサイセイホウ

デジタル大辞泉 「産業再生法」の意味・読み・例文・類語

さんぎょうさいせい‐ほう〔サンゲフサイセイハフ〕【産業再生法】

産業活力再生法

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「産業再生法」の意味・わかりやすい解説

産業再生法
さんぎょうさいせいほう

正称産業活力再生特別措置法。1999年(平成11)8月成立。企業の事業再構築を進めることでわが国の産業の競争力向上を目ざすもので、2003年3月までの時限立法であったが、2003年4月と2007年5月に改正が行われ、延長されている。その柱は、企業の事業再編を支援する、中小・ベンチャー創業支援を拡充する、国や大学のもつ特許の民間移転を促進する、の3点。企業が自ら得意とする「中核事業」を選択し、人材、技術、設備といった経営資源を集中し、一方で不効率部門の譲渡廃棄をしようとする際、事業再構築計画を国に出して承認を得れば、さまざまな優遇措置が受けられる。たとえば、分社手続きが簡単になる、従業員らによるMBOに道を開く、優先株の枠拡大で債務の株式化が可能になる、設備廃棄を税制面で支援するなどである。

[原 正輝]

 本法は2003年3月に廃止される予定であったが、日本の産業の生産性は回復基調にあるものの、依然として低迷を続けていたため、2003年4月に法改正が行われ、2008年3月末まで延長されることになった。この改正においては、旧法の企業の事業再構築支援などに加えて、2社以上で共同で事業再編を行うための措置、過剰債務に陥った企業の優良な経営資源を債権買取りなどによって再活用する措置、国内の産業空洞化を避けるために設備投資などを促す措置が付け加えられた。そのため法改正と同時に、企業の債権買取りなどを行う産業再生機構が設置(2007年3月解散)された。また、中小企業に考慮して中小企業支援協議会も設置された。

 さらに2007年5月、産業再生法は再度改正、延長された。今回の改正では、技術や知的財産を積極的に活用しイノベーション技術革新)による生産性向上に対する支援措置、異なる事業者間での経営資源の融合によって行う事業再編を円滑化させるための措置、特許に関する特定通常実施権登録制度の創設などが行われる。

 産業再生法の適用は、2003年改正前まで130件、以後2008年3月まで116件が認定され、三菱自動車丸善三洋電機などが利用している。

[編集部]

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知恵蔵 「産業再生法」の解説

産業再生法

経営資源の効率的な活用を通じて生産性の向上を実現し、産業の活力再生を速やかに実現することを目的に、2003年4月に施行された法律。正式名称は「改正産業活力再生特別措置法」。事業者が実施する事業再構築、共同事業再編、経営資源再活用、事業革新設備導入を支援する。再建を図る事業者は所管官庁の認定を受ければ、設備廃棄の除却損の繰越期間延長、登録税や不動産取得税の軽減、日本政策銀行の低利融資などの支援が得られることになった。

(本庄真 大和総研監査役 / 2007年)

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