朝日日本歴史人物事典 「田中由真」の解説
田中由真
生年:慶安4(1651)
江戸中期の和算家。京都の人。橋本吉隆の門弟。関孝和と同時代人であるが,独立に研究を行っていた。刊行著書はないが,終結式を導くのに行列式を用いたり,連分数展開に類似の方法を述べた『算学紛解』,魔方陣の解説書『洛書亀鑑』(1683),沢口一之の『古今算法記』の遺題に解答した『算法明解』(上巻のみ,1679)などが伝わっている。特に『算法明解』は関の『発微算法』(1674)と内容が重複しており,意識的かどうかは不明だが,関の式の立て方とは異なった方法で解いている。<参考文献>日本学士院編『明治前日本数学史』3巻
(佐藤賢一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報