留場(読み)とめば

精選版 日本国語大辞典 「留場」の意味・読み・例文・類語

とめ‐ば【留場】

〘名〙
江戸時代、一般の人の狩猟漁労を禁じた所。
梅津政景日記‐慶長一七年(1612)閏一〇月一二日「内膳殿、さかな町橋の下より舟にめし、留場へ御出被成候」
② 江戸時代の歌舞伎劇場で、無銭入場者を防いだり、場内での喧嘩などを制止したりする役。また、その役の人がいた木戸口に近い花道揚幕際の場所。特に、観客の騒ぎを鎮めるため、舞台下手の半畳の上にすわる役の人。
※談義本・根無草(1763‐69)後「足を踏れし諠譁には、留場(トメバ)来りてかつぎ出す」
③ 終わり。かぎり。とめど。
※俳諧・句兄弟(1694)中「そっくりと為替ととのふ大晦日〈介我〉 とめばをしらぬこひもする哉〈其角〉」
④ 隠しておく所をいう、不良仲間の隠語
※いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉四「チョッキピストルのトメバ(かくし場)を作ってくれたあの親切を」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「留場」の意味・読み・例文・類語

とめ‐ば【留(め)場】

江戸時代、一般人漁猟伐採を禁じた所。→御留場おとめば
江戸時代の歌舞伎劇場で、花道揚げ幕の奥、西の木戸口の脇にあった場内取り締まりの若者詰め所。また、その若者。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の留場の言及

【鷹場】より

…留場,狩場ともいう。本来は領主が放鷹(ほうよう)(鷹狩)を行う場所のこと。…

※「留場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android