疱疹状膿痂疹(読み)ほうしんじょうのうかしん(その他表記)Impetigo herpetiformis

六訂版 家庭医学大全科 「疱疹状膿痂疹」の解説

疱疹状膿痂疹
ほうしんじょうのうかしん
Impetigo herpetiformis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 妊娠をきっかけに、うみをもった地図状の赤い発疹が全身に生じる病気です。発熱などの症状を伴うこともあり、膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)のひとつのタイプと考えられています。

原因は何か

 妊娠を契機に発病することから、妊娠に伴うホルモンの変化が原因と考えられていますが、どのような内分泌的な異常が生じているかは明らかではありません。

症状の現れ方

 妊娠5~6カ月ごろから発病することが多く、初めは(わき)や股などのこすれやすいところに、うみをもつ赤い発疹が出てきます。その後、発疹は徐々に拡大して地図状になり、体や上肢下肢にまで広がります(図33)。発熱や関節痛寒気・震え、悪心(おしん)嘔吐下痢、リンパ節腫脹(しゅちょう)などの症状を伴います。

 出産を境に軽快傾向に向かい、出産後6カ月から1年で治療を必要としなくなることが多いようです。

検査と診断

 膿疱性乾癬の検査と診断に準じます。すでに妊娠が判明している場合が多いのですが、不明の場合は妊娠の検査を行います。

治療の方法

 膿疱性乾癬の場合と同様に、内服薬点滴主体になります。妊娠への影響の少ないステロイド薬が使用されます。外用薬としてもステロイド薬が多く用いられ、うみが多量に出る場合は肌を保護するためにガーゼをあて包帯をします。

 ビタミンA類似物質であるレチノイド(チガソン)は催奇形性(さいきけいせい)があるため使用は難しく、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)の内服も、ステロイド薬の内服や点滴の効果がない時に限って使用されるべき薬です。

 いずれの場合も産婦人科医と相談しながら、母体胎児両方に負担の少ないように薬を選んでいきます。

病気に気づいたらどうする

 すみやかに皮膚科専門医のいる医療機関を受診し、診断、治療を受ける必要があります。初めて発病した場合は、基本的には入院して治療することが望ましいと考えられます。

関連項目

 炎症性の角化症の全項目

金子 栄


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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