白石稲荷山古墳(読み)しろいしいなりやまこふん

国指定史跡ガイド 「白石稲荷山古墳」の解説

しろいしいなりやまこふん【白石稲荷山古墳】


群馬県藤岡市白石にある5世紀前半の前方後円墳。鮎(あゆ)川に面して西方から延びる丘陵の縁辺に、前方部を南西に面して所在する。後円部は3段築成で葺石(ふきいし)があり、全長約175m、後円部径約92m、前方部幅約148m、後円部高さ約13.5m。自然の地形を利用した大型古墳であり、保存もよいことなどから、1993年(平成5)に国の史跡に指定された。付近は安閑(あんかん)朝に緑野屯倉(みどののみやけ)が設置された地と推定され、毛野(けぬ)地方最大の七輿山(ななこしやま)古墳をはじめ群集墳の分布が多く、白石古墳群として知られている。1933年(昭和8)に発掘調査が行われ、後円部に併葬された長大な礫槨(れきかく)を2ヵ所発見した。副葬品は多量の石製模造品のほか武器類、玉類などが出土埴輪(はにわ)類もあり、後円部頂には家、甲、高坏(たかつき)などの形象埴輪が立て並べられており、家形埴輪は東京国立博物館に収蔵・展示されている。JR八高線群馬藤岡駅から車で約20分。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白石稲荷山古墳」の意味・わかりやすい解説

白石稲荷山古墳
しろいしいなりやまこふん

群馬県藤岡市白石にある5世紀前半の前方後円墳。鮎(あゆ)川に面して西方から延びる丘陵の縁辺に前方部を南西に面して占地する。後円部は三段築成で葺石(ふきいし)があり、全長約140メートル、後円部径約95メートル、前方部幅約62メートル、後円部高さ約12メートル。付近は安閑(あんかん)朝に緑野屯倉(みどののみやけ)が設置された地と推定され、毛野(けぬ)地方最大の後期古墳七輿山(ななこしやま)古墳をはじめ群集墳の分布が多く、白石古墳群として知られている。1934年(昭和9)に発掘調査が行われ、後円部に併葬された長大な礫槨(れきかく)が2か所発見された。副葬品は、両槨から多量の石製模造品のほか仿製(ぼうせい)鏡、武器類、玉類などが出土した。また埴輪(はにわ)類もあり、後円部頂には家、甲、高坏(たかつき)などの形象埴輪が立て並べられていた。

[梅澤重昭]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白石稲荷山古墳」の意味・わかりやすい解説

白石稲荷山古墳
しろいしいなりやまこふん

群馬県藤岡市白石にある前方後円墳。古墳時代中期末頃のものといわれる。 1933年に発掘調査。後円部墳頂から家形埴輪などが出土し,その下から礫床を伴う2個の並列した埋葬施設と思われる竪穴式石室が発見された。両方とも内部からさまざまな石製模造品が出土したことにより著名である。

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世界大百科事典(旧版)内の白石稲荷山古墳の言及

【稲荷山古墳】より

…1902年に石棺を開いて,棺内から金銅製の冠・履・魚佩,金製耳飾,鏡,玉類,環頭大刀,鹿角装大刀,斧,刀子などをとりだし,棺外から馬具,須恵器などを検出した。
【白石稲荷山古墳】
 群馬県藤岡市白石にある5世紀前半の前方後円墳。鮎川に面した洪積台地の縁辺に位置し,前方部を南西に向ける。…

※「白石稲荷山古墳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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