白馬非馬論(読み)はくばひばろん(英語表記)Bai-ma fei-ma lun

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

白馬非馬論
はくばひばろん
Bai-ma fei-ma lun

中国,戦国時代の論者公孫龍が唱えた認識論上の一命題。『公孫龍子』の白馬論にみえる。白馬という概念は,色彩感覚によってとらえられた「白」と視覚 (形態感覚) によってとらえられた「馬」とに分析できるから,白馬 (白+馬) は馬ではない,また馬という概念には黄馬も黒馬も含まれるが,白馬という概念には黄馬,黒馬は含まれない,ゆえに白馬は馬ではないという理論。戦国末期の知識人の間で盛んにもてはやされ,後世,先秦詭弁哲学の代表と目されるようになったが,この説自体は,概念の広狭異同の判別を試みたものであって,詭弁と速断することはできない。

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世界大百科事典 第2版の解説

はくばひばろん【白馬非馬論 Bái mǎ fēi mǎ lùn】

中国,戦国期の名家公孫竜(こうそんりゆう)の論理をさす。現存の《公孫竜子》によると,〈白馬〉は色彩〈白い〉が形状〈馬〉の属性として一体で知覚されるが,もし視覚の色彩を実在化して形状から独立させるときは無意味な2語に分裂するとして,それを〈白馬非馬〉と表現した。中国語の本質に根ざす個物の具体認識の方法,つまり個物優先の名実論にかかわる。また,これを〈(個体の)白馬は(類概念の)馬一般ではない〉の意味として,類種基準の差異ととる説もある。

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