白髪三千丈(読み)ハクハツサンゼンジョウ

デジタル大辞泉 「白髪三千丈」の意味・読み・例文・類語

白髪はくはつ三千丈さんぜんじょう

李白「秋浦歌」から》長年憂いが重なって白髪が非常に長くのびることを誇張していった言葉。心に憂いや心配事が積もることのたとえ。

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精選版 日本国語大辞典 「白髪三千丈」の意味・読み・例文・類語

はくはつ‐さんぜんじょう‥サンゼンヂャウ【白髪三千丈】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「李白‐秋浦歌」の「白髪三千丈、縁愁如箇長、不明鏡裏、何処得秋霜」による ) 白髪が非常に長く伸びることを誇張していった語。心配事や悲嘆の積もることの形容にいう。
    1. [初出の実例]「秋風白髪三千丈、夜雨青燈五十年」(出典:東帰集(1364頃)夜座)

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故事成語を知る辞典 「白髪三千丈」の解説

白髪三千丈

心配や悲しみが非常に深いことのたとえ。また、極端な誇張表現のたとえ。

[使用例] ややもすれば一二尺に足らざるの白髪を、こうちょうして三千丈と云ふに至る[尾崎行雄*遊清記|1884]

[使用例] 「李白一斗詩百篇」や「白髪三千丈」の国でないだけに、大きく見せた二万という言葉も、それほど驚くべき感じを与えないように思う[柴田宵曲*古句を観る|1943]

[由来] 八世紀、唐王朝の時代の詩人、李白の詩、「しゅうの歌―の十五」の冒頭の句から。李白は晩年反乱に加わったとの疑いをかけられて流罪となり、流刑地に赴く旅の途中で恩赦を受けるという人生の浮沈を味わいます。この詩は、おそらく、その後、長江を下りながら秋浦(現在のあん省内)という土地まで戻ってきた際に読まれたもの。五文字ずつの四句から成る五言絶句で、前半は、「白髪三千丈、愁いにりてくの如く長し(白髪が三千丈もある、心配ごとのせいでこんなにも伸びてしまったのだ)」。後半では、その白髪を秋の霜にたとえて、「知らず明鏡のうちいずれの処にしゅうそうを得たるかを(鏡の中に映っているこの秋の霜のは、いったいどこから降りてきたのだろう)」とうたい収めています。

[解説] ❶この時代の中国では、「一丈」は約三・一メートルですから、「三千丈」は九キロ強にもなります。「白髪三千丈」とは、人を驚かせる豪快な表現で知られた李白らしい、極端な誇張表現。とはいえ、奇をてらったというよりは、死を目前した彼の愁いはそれほどまでに深かったのだ、と読むべきでしょう。❷ただ、現在では、極端すぎる誇張表現の例として、よく言及されます。特に、中国人のおおげさな表現を暗に批判する場合に、用いられます。

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世界大百科事典(旧版)内の白髪三千丈の言及

【白髪】より

…新しく生える毛髪が白毛であるか,黒髪が伸びる途中から白くなるのだから,髪が白く見えるにはかなり時間がかかる。〈白髪三千丈 縁愁似箇長(白髪三千丈 愁(うれい)に縁(よ)って箇(かく)の似(ごと)く長し)〉(李白《秋浦歌》其十五)。 髪だけが白変するのではなく,すべての発毛域に白毛は生える。…

※「白髪三千丈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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