真空分光器(読み)シンクウブンコウキ

化学辞典 第2版 「真空分光器」の解説

真空分光器
シンクウブンコウキ
vacuum spectroscope

波長200 nm 以下の光,すなわち真空紫外線を分光するために用いられる分光器をいい,主として凹面型回折格子によって分光される.その原理および構成は,通常の分光器とほぼ同様であるが,光路が真空であるかあるいはその光に対して透明な物質でつくられている点に特徴がある.ほとんど大部分原子分子,あるいは固体が,この領域において光の吸収係数の最大値を示すので,近年,とくにこの領域の研究の重要性が増しつつある反面,同じ理由から分光器に用いる透明な物質を選択することは容易ではない.同じ真空紫外線でも,およそ100 nm 以上の波長領域では高純度石英フッ化リチウムフッ化カルシウムなどが透明な物質として用いられるが,それ以下の波長では適当な物質が存在しないので,窓なしの装置が工夫されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「真空分光器」の意味・わかりやすい解説

真空分光器
しんくうぶんこうき
vacuum spectroscope

光の波長が 190nmより短い紫外線は空気によって吸収されるので,このような紫外線を分光するには分光器を真空容器の中に入れなければならない。このような分光器を真空分光器といい,凹面回折格子プリズムの代りに使われる。垂直入射型と斜め入射型がある。

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