知夫(読み)ちぶ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「知夫」の意味・わかりやすい解説

知夫(村)
ちぶ

島根県北東部、隠岐(おき)郡知夫里(ちぶり)島1島よりなる村。古くから1島1村で、隠岐諸島のなかでもっとも本土に近く、隠岐の入口にあたる。南端に天然の良港の知夫湾がある。北東部の来居港(くりいこう)と島前(どうぜん)、島後(どうご)の諸港や、本土の七類(しちるい)港(松江市美保関(みほのせき)町)、境港(鳥取県境港市)との間に定期航路がある。半農半漁の村で出稼ぎが多いが、「在村者と出稼ぎ者との強い連係」のあるのが特色とされる。また長寿者が多い。近年まで牧畑(まきはた)耕作が行われていた。いまでも、農業のほとんどが肉用牛の肥育となっている。島の南西部にある断崖は隠岐知夫赤壁(せきへき)とよばれ、国指定名勝・天然記念物。面積13.70平方キロメートル、人口634(2020)。

[江村幹雄]

『『知夫村誌』(1960・知夫村)』


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改訂新版 世界大百科事典 「知夫」の意味・わかりやすい解説

知夫[村] (ちぶ)

島根県隠岐郡,隠岐諸島島前(どうぜん)の最南端,知夫里(ちぶり)島と周辺の小さな無人島からなる村。人口657(2010)。知夫里島は標高325mのアカハゲ(赤禿)山を最高地点とする急峻な山が連なって海岸線まで迫り,海岸線は出入りが多く,風海食によって形成された断崖が続いている。半農半漁で,出稼者が多い。近世に隠岐の特徴的な農法であった牧畑(まきはた)は農業への依存度の減少と離村や出稼ぎの増加によって急激に衰退した。現在では牧畑の耕作機能は失われて単なる牛馬の放牧地となっている。島の西岸には知夫赤壁(せきへき)と呼ばれる断崖がある。境港,七類港とフェリーで結ばれている。
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