能楽大鼓方の流儀の一つ。現在,能楽協会に7名の役者が登録され,京都と名古屋で活躍している。この流儀は革を強くほうじたり調緒(しらべお)をきつく締めたりせず,また指皮をはめないで打つことをたてまえとしているので音が柔らかい。現在でも4種類の音色をきちんと打ち分けている唯一の流儀で,ところどころに古い手組(リズムパターン)や掛声を残している。手組数は現行流儀中一番多く,曲ごとに種々の替の手組を使用するので譜はたいへん複雑になっている。流祖石井庄左衛門滋長は秀吉のころの素人で,名手樋口久左衛門の弟子。江戸時代は,京都在住のまま代々加賀藩と尾張藩に仕えた。10世石井一斎は明治時代,高安流の清水然知,葛野(かどの)流の津村又喜とともに大鼓の三名人と称されたが,一斎の没後宗家は絶え,現在では門人谷口正喜(まさよし)が宗家代理を務めている。
執筆者:高桑 いづみ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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