石垣山城(読み)いしがきやまじょう

日本の城がわかる事典 「石垣山城」の解説

いしがきやまじょう【石垣山城】

神奈川県小田原市にあった山城(やまじろ)。国指定史跡。1590年(天正18)の小田原の役で、豊臣秀吉小田原城(同市)の西3kmに位置する笠懸山山頂に築いた付け城である。秀吉は小田原城から見えない場所に築き、同城完成後に、城を隠していた周囲の林を伐採して小田原城にその姿を見せつけた。そのため、一夜にして築かれたかのように思わせ、戦闘意欲を失わせたという逸話がある。秀吉は約3~4万人を動員して80日で完成させたといわれる。陣城とはいえ石垣や櫓(やぐら)を備えた本格的な近世城郭で、関東で最初に造られた総石垣の城であった。また、この城に天守があったかどうかは不明だが、天守台跡が残っている。秀吉はこの城で茶会を開き、天皇の勅使も迎えた。その後、小田原城が降伏・開城したため、この城は廃城となった。現在、城跡石垣山一夜城歴史公園となっている。1923年(大正12)の関東大震災で多くの石垣が崩壊したが、本丸、二の丸、南曲輪(くるわ)、井戸曲輪などの石垣を含む遺構が残っている。JR・小田急電鉄小田原駅からバスで公園入口下車。またはJR東海道本線早川駅から徒歩約30分(太閤道)、あるいは箱根登山鉄道入生田駅から徒歩約50分。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石垣山城」の意味・わかりやすい解説

石垣山城
いしがきやまじょう

戦国期の城。神奈川県小田原市早川にある。1590年(天正18)豊臣(とよとみ)秀吉が小田原城に籠城(ろうじょう)する北条氏を攻めたときに、対(たい)の城として小田原城を眼下に望む笠懸(かさがけ)山に築いたものである。約80日間で完成したが、短時日にできたことから石垣山一夜城ともよばれる。秀吉本陣のあった陣城(じんじろ)で、本丸、二の丸、西曲輪(くるわ)、南曲輪、井戸曲輪などからなっており、小田原城落城によって廃城となった。

[小和田哲男]

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国指定史跡ガイド 「石垣山城」の解説

いしがきやまじょう【石垣山城】


⇒石垣山(いしがきやま)

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