改訂新版 世界大百科事典 「神祇志料」の意味・わかりやすい解説
神祇志料 (じんぎしりょう)
《大日本史》のうちの〈神祇志〉編纂準備のため記された書。17巻。1873年成立。栗田寛(1835-99)著。彰考館所蔵の《日本書紀》以下500余部の諸書にあたって記した書で,第1巻より第4巻までに天地開闢より後小松天皇の代までの神祇の沿革を概述,第5巻に恒例・臨時の祭儀について,第6巻より第16巻までに延喜式内社の鎮座地,由緒,沿革等について記すほか,式外の諸神について論証し,第17巻に宮殿の制として神祇官,伊勢神宮,出雲大社について記し,また神官,神官把笏,叙位,太占についても論及している。明治以降の近代的な歴史学方法に先駆けた好著である。1887年刊行。また同じ栗田寛により《神祇志料附考》として,《神祇志料》編纂中に反故としておいたもののなかより集めておいたものが同じ1873年に完成している。その《附考》巻一は神祇官八神殿,大嘗祭について記し,巻二に大祓,神衣祭,神今食(じんこんじき)などについて記し,以下巻四までに神郡,社格,神社祭祀,卜占,さらに神道一般について記し,巻五以下巻十六までに宮中,京中,畿内,諸道の諸社についての補足的記事を記している。《神祇志料》《神祇志料附考》あわせて,1927年皇朝秘笈刊行会より刊行。この本では《志料》は21巻,すなわち巻六より巻二十までを神社,巻二十一を宮殿の制以下としている。1971年思文閣再刊。
執筆者:鎌田 純一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報