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《延喜式》巻九,十,すなわち〈延喜式神名帳〉に記された3132座,2861所の神社のこと。座は祭神の数をあらわし,一社に2座,3座まつられていることもある。単に式社,また延喜式内社ともいう。これ以外を式外社とも呼んだ。古代律令体制下,宮中,京中,五畿,七道内の有力神社に対し,祈年祭などに,神祇官または国司より幣帛を奉ったが,その神社である。起源は不詳であるがおよそ7世紀末の白鳳期ころからとみられ,しだいに数を増して,10世紀の延喜ころまでにそのような数になったものとみられる。神祇官が奉幣しまつる官幣社と,国司が奉幣しまつる国幣社とがあり,それぞれ大,小にさらに区分され,また大に名神大社(みようじんたいしや)と大社とがあった。その数をあげると,官幣大社304座・198所(名神大社124座・74所,大社180座・124所),官幣小社433座・375所,国幣大社188座・155所(名神大社161座・129所,大社27座・26所),国幣小社2207座・2133所となる。大,小の区別はその有力度,崇敬度によったとみられるが,《延喜式》には案上の幣帛を奉ったのが大社,案下の幣帛を奉ったのが小社とあり,さらに大社に祈年祭のほかに月次・新嘗・相嘗祭にも幣帛をうけた社,名神大社で月次・新嘗のみに幣帛をうける社など多くの区分があった。小社には祈年祭の幣に鍬・靫(ゆき)またはどちらかを加えるものもある。京師に近い五畿内に官幣社が多く,畿外には官幣小社がまったくないのは,実際の班幣の難しさから地方の神社には国司よりの奉幣を一般としたためとみられる。また,式内社の数は国により差があり,大和286,伊勢253に対し安芸3,筑後4のごとくである。そこに神祇行政上の問題もみられた。
→官国幣社
執筆者:鎌田 純一
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律令(りつりょう)時代の法典のなかで弘仁(こうにん)、貞観(じょうがん)の二式およびその後の式を集大成した『延喜式(えんぎしき)』(50巻)には、神祇(じんぎ)関係の法規が冒頭10巻にわたり記されている。その巻9「神名上」、巻10「神名下」は、それら神祇関係法規の適用される範囲の神社名を列記したもので、この2巻すなわち『延喜神名式』(『延喜式神名帳』ともいう)に登載された当時の官社3132座(一社で複数の祭神が登載された神社もあり、社数では2861社)を式内社という。したがって『延喜式』成立の927年(延長5)以前創建の神社となり、いずれも1000年以上の歴史的生命のある宗教施設となる。それだけに廃絶した式内社や、それに該当すると称する神社が複数で論争している式内社もなかにはある。
[白山芳太郎]
式社とも。「延喜式」神名帳に登載されている神社。3132座,神社の数にして2861座ある。神祇官の祭る官幣社と国司の祭る国幣社に分類され,さらに大社と小社にわけられ,社格に応じてあずかる祭,幣帛(へいはく)の数量や品目に差異がある。明治神社制度の社格制定の史的基準となった。官幣大社は西海道以外の諸道にあり,304座を数える。官幣小社433座は畿内に限られ,国幣社は大社・小社とも畿内にはない。国幣小社は2207座あり,式内社の3分の2以上を占める。大社のうち名神祭(みょうじんさい)にあずかる社(名神大社)は306座で,うち官幣社は127座。
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…他方,小さな神社では,氏子の座や講などの組織から,一年神主,当屋神主などが選ばれて,祭りを行うのが一般であった。 《延喜式》の神名の巻には,平安時代中期の国家が神威を認めていた2861の神社の名が記され,後世それらの神社を由緒正しい神社として〈式内社(しきないしや)〉と呼んだ。また式内社以外で六国史にその名を記されている391の神社を,〈国史現在社〉と呼んで,式内社につぐものとした。…
※「式内社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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