栗田寛(読み)クリタヒロシ

デジタル大辞泉 「栗田寛」の意味・読み・例文・類語

くりた‐ひろし【栗田寛】

[1835~1899]幕末明治期の歴史学者。常陸ひたちの人。号は栗里。水戸彰考館に入り、「大日本史」の編纂へんさん参加。著「荘園考」など。

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精選版 日本国語大辞典 「栗田寛」の意味・読み・例文・類語

くりた‐ひろし【栗田寛】

  1. 幕末・明治の史学者。文博。幼名八十吉。号栗里。水戸の人。会沢正志斎・藤田東湖らに学んで彰考館に入り、「大日本史志表」の編修にあたる。のち帝国大学教授。著に「神祇志料」「荘園考」など。天保六~明治三二年(一八三五‐九九

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改訂新版 世界大百科事典 「栗田寛」の意味・わかりやすい解説

栗田寛 (くりたひろし)
生没年:1835-99(天保6-明治32)

幕末・明治前期の歴史学者。号は栗里。文学博士。水戸で代々油屋を営む家に生まれる。藤田東湖,会沢正志斎,豊田天功に学び,のち水戸藩の彰考館に入る。以後,その全生涯を《大日本史》の修史事業(〈神祇志〉〈食貨志〉〈国郡志〉)にささげた。維新後,教部省,修史館に出仕し,1892年東京帝国大学文科大学教授となり国語学国文学国史第一講座を担当し,水戸学派の史家として重きをなした。《纂訂古風土記逸文》をはじめ,多くの編著書がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「栗田寛」の意味・わかりやすい解説

栗田寛
くりたひろし
(1835―1899)

幕末・明治期の歴史家。天保(てんぽう)6年9月14日常陸(ひたち)国(茨城県)水戸の油屋に生まれる。幼名八十吉(やそきち)。幼少より藤田東湖(とうこ)、会沢正志斎(あいざわせいしさい)らに学び、のち水戸の彰考館(しょうこうかん)に出仕。明治維新後は修史館(しゅうしかん)に出仕するとともに水戸の「大日本史」編纂(へんさん)にもかかわる。1892年(明治25)帝国大学文科大学教授となり国史学科で教鞭(きょうべん)をとる。著書に『荘園(しょうえん)考』『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)考証』などがあるが、『荘園考』は日本における社会経済史的研究の先駆的業績として評価されている。著作は『栗里先生雑著』(3冊)にまとめられている。明治32年1月25日没。

[永原慶二]


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朝日日本歴史人物事典 「栗田寛」の解説

栗田寛

没年:明治32.1.25(1899)
生年:天保6.9.14(1835.11.4)
明治時代の漢学者,歴史家。文学博士。常陸国(茨城県)水戸下町本6丁目に生まれる。豊田亮の高弟で,安政5(1858)年に彰考館に入り,『大日本史』志表の完成に生涯をささげる。制度と史書の考証に優れた。この間には,明治政府の神社考証や修史事業に参加し,明治25(1892)年久米邦武の跡を襲って帝国大学文科大学国史科に就職,国家的期待にこたえた。<著作>『栗田先生雑著』『天朝正学』『常盤物語』<参考文献>吉田一徳『大日本史紀伝志表撰者考』,照沼好文『栗田寛の研究』,辻善之助先生誕生百年記念会編『辻善之助博士自歴年譜稿』

(秋元信英)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「栗田寛」の解説

栗田寛 くりた-ひろし

1835-1899 幕末-明治時代の歴史学者。
天保(てんぽう)6年9月14日生まれ。水戸の彰考館で豊田天功にまなび,「大日本史」の編修に生涯たずさわる。維新後,教部省などにつとめ,また水戸に家塾輔仁(ほにん)学舎をひらいた。明治25年帝国大学教授。明治32年1月26日死去。65歳。常陸(ひたち)(茨城県)出身。字(あざな)は叔栗。通称は利三郎。号は栗里。著作に「荘園考」「神祇志料」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「栗田寛」の意味・わかりやすい解説

栗田寛
くりたひろし

[生]天保6(1835).9.14. 水戸
[没]1899.1.26.
明治の国史家。号は栗里。彰考館で『大日本史』の編纂に参与,『神祇志料』などを編集。さらに教部省大教院に出仕,晩年は東京帝国大学で国史,法制を講じた。著書『標註古風土記』『職官考』『栗里先生雑著』など。

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世界大百科事典(旧版)内の栗田寛の言及

【荘園】より

… これに対し第2の潮流は,荘園を公的な意味を持つ国制の一環としてとらえ,荘園の伝領関係に目を向け,国衙領に注目する見方で,水戸学,国学など江戸時代にその根を持つものから,逆に荘園を制度的な外被とみて,その枠にとらわれぬ庶民の生活を追究する方向まで含んでいる。天皇による国家的土地支配を崩壊させた荘園の〈弊害〉を探るため国衙領にも着目した栗田寛,清水正健,天皇家領の伝領を研究した八代国治は前者に属する。伝領関係とともに荘民の多面的な生活を解明しようとした中村直勝,牧野信之助,荘園を律令制以前の田荘(たどころ)と結びつけ荘園絵図,倉庫,港湾にまで視野をひろげた西岡虎之助は後者に属する。…

【神祇志料】より

…1873年成立。栗田寛(1835‐99)著。彰考館所蔵の《日本書紀》以下500余部の諸書にあたって記した書で,第1巻より第4巻までに天地開闢より後小松天皇の代までの神祇の沿革を概述,第5巻に恒例・臨時の祭儀について,第6巻より第16巻までに延喜式内社の鎮座地,由緒,沿革等について記すほか,式外の諸神について論証し,第17巻に宮殿の制として神祇官,伊勢神宮,出雲大社について記し,また神官,神官把笏,叙位,太占についても論及している。…

※「栗田寛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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