避難行動要支援者(読み)ひなんこうどうようしえんしゃ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

避難行動要支援者
ひなんこうどうようしえんしゃ

災害時に自力での避難が難しく、第三者の手助けが必要な高齢者障害者、難病患者などの災害弱者。東日本大震災などの災害時に高齢者らに被害が集中しがちであった反省を踏まえ、2014年(平成26)4月に施行された改正災害対策基本法で、避難行動要支援者の避難を迅速・円滑に進め、命の危険から守る支援制度がスタートした。かつては「災害時要援護者」とよばれた。改正災害対策基本法に基づき、国は市区町村に避難行動要支援者の名簿づくりを義務づけ、要支援者ひとりひとりの個別支援計画をつくるよう求めている。
 高齢者、障害者、乳幼児など災害時に配慮が必要な「要配慮者」のうち、とくに避難時に支援が必要な人を避難行動要支援者という。具体的には高齢者、寝たきり(要介護3以上)の人、認知症(要介護3以上)の症状のある人、障害者手帳(障害等級1、2級)の交付を受けている人、療育手帳(A判定)の交付を受けている人、難病患者らのうち、ひとり暮らしの人や高齢者のみの世帯の人などが該当する。名簿には氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、支援を必要とする理由などが記載される。支援計画では、要支援者の安否確認、救助、手助け、誘導などをする避難支援者を事前に決めておき、津波、台風、原子力発電所事故などの災害別に、避難場所、経路、必要な道具、連絡先などを盛り込む。また要支援者の同意を得たうえで、平時から名簿を自治会・自主防災組織、民生委員・児童委員、地区福祉委員・社会福祉協議会、消防などの外部機関に提供し、情報共有しながら、日ごろの訓練などに役だてる。しかし名簿を外部機関に提供するには、掲載された要支援者ひとりひとりの同意が必要で、この個人情報の問題が、名簿作成の遅れの原因となっている。[編集部]

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

避難行動要支援者

障害があったり介護が必要だったりして、災害時に一人で避難することが難しい人。大分市の場合、要件を▽身体障害者手帳1種▽療育手帳A1、A2▽精神障害者保健福祉手帳1級▽要介護認定3~5――などと定める。13年6月の災害対策基本法の一部改正により、市町村は要支援者名簿の作成を義務付けられた。

(2017-02-10 朝日新聞 朝刊 大分全県・1地方)

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デジタル大辞泉の解説

ひなんこうどうようしえん‐しゃ〔ヒナンカウドウエウシヱン‐〕【避難行動要支援者】

高齢者・障害者・乳幼児など、特に配慮を要する人のうち、災害が発生した場合やそのおそれがある場合に、自ら避難することが困難で、円滑かつ迅速に避難するために、特に支援を要する人のこと。

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