1859年に出版されたイギリスの博物学者チャールズ・ダーウィン(09~82年)の著書。2009年は、ダーウィンの生誕200年および「種の起源」初版発行150年にあたる。
正式な書名は"On the Origin of Species by Means of Natural Selection, or the Preservation of Favoured Races in the Struggle for Life"(「自然淘汰(とうた)による種の起原,すなわち生存闘争において有利である種族が保存されることについて」)である。日本語版は1896年に立花銑三郎訳で「生物始源 一名種源論」として出版されたのを最初に、最終版である第6版(72年刊)または初版にもとづき、今日まで多数出版されている。書名にあるOriginの日本語表記は、は、「起原」(岩波文庫「種の起原」、大杉栄訳「種の起原」および駒井卓による複数のダーウィン評伝、他)とするものと、「起源」(今日刊行されている多くのダーウィン関連書)とするものがある。
ダーウィンは、英国海軍の測量船ビーグル号の世界一周航海(31~36年)に参加し、途中立ち寄ったガラパゴス諸島(エクアドル)で、ゾウガメの甲羅の形が島ごとに異なることなどを発見し、進化論の着想を得た。しかし、キリスト教が社会全体に絶対的な影響を持ち、生物は神が創造したと信じられていた時代のヨーロッパにあって、「自然選択(自然淘汰)」による進化が多様な種を生んだとする自説の発表をちゅうちょした。しかしその後、同様の理論を独自にまとめたウォレス(イギリスの博物学者)から相談を受けたことをきっかけに、着想から20年以上を経た58年にウォレスと共同で論文を発表し、翌年、本書を出版した。
本書によってダーウィンは、進化は下等なものから高等なものへといった直線的な変化ではなく、共通の祖先から系統が枝分かれして多様な生物を生む歴史であるとの考えを示し、さまざまな証拠をあげて進化が事実であることを論証した。ダーウィンの進化論は広く社会思想にまで大きな影響を与え、本書は世界の主な言語に翻訳されて読まれ続けている。