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稲富流 いなとみりゅう

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大辞林 第三版の解説

いなとみりゅう【稲富流】

砲術の一派。祖は丹後の人、稲富伊賀入道一夢(1551~1611)。一夢流いちむりゆう

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

稲富流
いなとみりゅう

和流砲術の主要流派の一つ。流祖は稲富伊賀入道一夢(いちむ)。一夢流ともいう。一夢は、祖父相模直時(さがみなおとき)が1554年(天文23)、近江(おうみ)の人、佐々木少輔次郎義国(しょうふじろうよしくに)から相伝された種子島(たねがしま)直伝の銃砲術の奥旨に、自己の創意を加えて一流を開いたという。一夢は初め丹後(たんご)田辺(西舞鶴(まいづる))の城主一色満信(いっしきみつのぶ)に仕えたが、主家の滅亡後、豊臣(とよとみ)秀吉のお声がかりで細川忠興(ただおき)に仕え、老職に進み、井伊直政(なおまさ)、浅野幸長(よしなが)、京極高知(きょうごくたかとも)らの諸大名にも教授したという。1600年(慶長5)関ヶ原の戦いの当初、大坂の細川邸の留守を預けられたが、忠興夫人を人質にしようとした石田三成(みつなり)の軍に攻められ、夫人の自害をあとに逃亡し、世人の厳しい非難を浴びた。しかし、彼の技術を惜しんだ尾張清洲(おわりきよす)の松平忠吉(ただよし)(家康の四男)に救われ、04年駿府(すんぷ)の家康に謁し、ついで江戸へ出て将軍秀忠(ひでただ)に秘伝を授け、幕府の鉄砲政策にも参画した。晩年は尾張の徳川義直(よしなお)に仕え、11年(慶長16)駿府に没した。行年61歳。
 一夢のつくった伝書は、『一流一返之書』11巻、『極意』9巻、『一大事極意・外物』5巻、計25巻を数え、これら折本を広げると百数十メートルに達するという豪華さで、射手の姿勢を裸形で示し、また照尺を用いて遠距離射撃を順次図解したことなど、この流の合理性と斬新(ざんしん)さをうかがわせる。一夢には男子がなく、女婿赤井秀治(ひではる)の長子秀明が稲富姓を名のって尾張藩に仕え、以後この家系が同藩の御流儀師範家を継ぎ、幕末に及んだ。
 一方江戸では、高弟の幕臣井岡宮内(くない)重次(しげつぐ)が稲富姓を与えられて一家をたて、また一夢の弟直重(なおしげ)の嫡子喜大夫正直(きだゆうまさなお)(1556―1623)が、大坂の陣の功によって6万50石を賜り、御鉄炮(おてっぽう)用役に任ぜられた。しかしその子直賢(なおかた)のとき、同役井上正継との刃傷(にんじょう)事件によって改易、その子正之は召し返されたが、家職を回復するには至らなかった。[渡邉一郎]

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