窒化処理によって大きな表面硬さと耐摩耗性を与えることができるように,適当な合金元素を添加した特殊鋼の一種.機械加工および焼入れ,焼戻しの熱処理の完了した鋼を窒化箱に入れ,500~550 ℃ に加熱してアンモニアガスと反応させ,これが分解して生じるN原子を鋼中に拡散侵入させて表面を硬化したもの.鋼表面をビッカース硬さ1000程度に硬化させるには,AlとCrを添加した鋼を用いることが必要である.また,窒化処理は500~550 ℃ で50~100時間もかけて行われるので,それによっていわゆる焼戻し脆性を生じないようにMoの添加も不可欠である.このため,JISの窒化鋼には,0.40~0.50質量%C,1.30~1.70質量%Cr,0.15~0.30質量%Mo,0.70~1.20質量%AlのAl-Cr-Mo鋼が規定されている.窒化処理の適用される例としては,歯車,カム,航空機用エンジン,ゲージブロックなどがある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…鋼材の表面に窒素を浸透拡散させることによって表面層だけを硬化させ,耐摩耗性,その他の性質がすぐれた材料にする表面硬化法。窒化は歯車,ピストンリング,機械の摺動部の部品などに行われるが,それらの鋼材は,窒素と親和力の強いアルミニウム,クロム,モリブデン,チタン,マンガンなどを含む合金鋼であり,とくに窒化鋼と呼ばれる。窒化は窒素源の種類により気体(ガス)窒化,液体窒化に大別される。…
…窒化は,あらかじめ強固な窒化物形成元素であるアルミニウム,バナジウムおよびクロムのような合金元素を鋼に添加しておき,これを焼入れしたのち,焼戻しをアンモニア雰囲気などの中で加熱保持する方法やシアン酸塩の塩浴を用いて表層を窒化処理し硬化させる。このような目的で製造される鋼をとくに窒化鋼という。表面焼入れには,火炎によって表層だけをオーステナイト化して焼き入れる火炎焼入れや,高周波加熱が表層に限定される性質を利用した高周波焼入れの方法がある。…
※「窒化鋼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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