毛を皮膚の表面に垂直に立てて、いわゆる鳥肌をつくる筋で、交感神経の支配を受ける。俗に「ぞっとして鳥肌を生ずる」というのは、立毛筋反射の結果によるものである。立毛筋の一端は真皮の表皮に接する乳頭部につき、他端は毛包(毛嚢(もうのう))の結合組織に達する。立毛筋は太さ50~200マイクロメートルの平滑筋で、毛の傾斜面に存在し、毛の外皮表面に鉛直な方向よりも多少側方に偏って付着していることが多い。
立毛筋が収縮すると、毛は側方に回転しながら立つこととなる。また、立毛筋と毛根の間には脂腺(しせん)があり、筋はしばしば下方に凸に彎曲(わんきょく)する。したがって、筋が収縮すると、脂腺の内容物は毛包腔(もうほうくう)内に圧出されることになる。普通、1毛に1個あるいは2個の立毛筋があるが、鼻毛、眉毛(まゆげ)、まつげ、あるいは顔面のうぶ毛の一部などでは立毛筋をもっていない。
[嶋井和世]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…筋細胞の多くは細長い繊維状で,したがって筋細胞のことを筋繊維muscle fiberともいう。筋肉はすべて中胚葉から発生するが,瞳孔括約筋や皮膚の立毛筋は外胚葉に由来する。
[横紋筋と平滑筋]
筋肉によって起こる運動には,手足を動かすときのように,自分の意志によってコントロールできる運動と,心臓の拍動や胃腸の運動のように,意志によってコントロールできない運動とがある。…
…毛は,皮下に斜めに埋もれている毛根および毛球と,皮膚外に露出する毛幹の3部分に区別される。一般に毛根には,反射的に収縮して毛を直立させる平滑筋繊維からなる立毛筋と,脂肪を分泌する皮脂腺が付属している。哺乳類の毛は表皮が分化し変形した組織で,基部の毛球を除く大部分は角質化した非生活組織である。…
…寒さ,恐怖,強い精神感動などによって皮膚の立毛筋が収縮し,皮膚の一部が隆起してちょうど毛をむしり取った鳥の肌のような状態をいう。鵞皮(がひ)ともいい,〈肌に粟(あわ)を生ずる〉というのも同じ現象である。…
※「立毛筋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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