釈尊時代、中インドの最強国であったマガダ国の首都、王舎城(おうしゃじょう)(ラージャグリハ。現在のビハール州ラージギルRājgir)の郊外につくられた僧園。サンスクリット名ベーヌバナ・カランダカ・ニバーパVeuvana-kalandaka-nivāpaといい、詳しくは迦蘭陀(からんだ)竹園などと訳される。迦蘭陀長者が寄進したものとも、カランダカkalandakaという栗鼠(りす)あるいは鳥の住する竹で囲まれた園林をビンビサーラBimbisāra王が奉献したものともいう。これは釈尊によって初めて受納された僧園で、成道(じょうどう)後の第2、3、4年目の雨安居(うあんご)をここで過ごしたと伝えられる。玄奘(げんじょう)によれば、この東に仏陀入滅に際して八分された舎利の一つを祀(まつ)る、阿闍世(あじゃせ)王によって建てられた仏塔があったという。
[森 章司]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…スダッタ長者は修道に適した最勝のその地を得るために,財力を示そうとして園内に金銭を敷きつめたという。マガダ国にあってビンビサーラの保護を受けた竹林精舎とともに二大精舎として知られ,釈尊の説法も多くこの精舎で行われた。7世紀にこの地を訪れた玄奘はすでに荒廃していた当時の様子を伝えている。…
…比丘は元来,出家遊行(ゆぎよう)の生活をたてまえとするので建物を必要とせず,ただ安居中だけ仮小屋を設けたらしい。初期教団の安居に使用された代表的園林として仏典の記すものに,舎衛城の祇園精舎,王舎城の竹林精舎などがある。教団の発展とともに,そうした園林にもしだいに建物が造られるにいたった。…
…7世紀の玄奘はたび重なる火災のために新たに新城が建設されたことを伝えている。近くには釈迦が在世中しばしば滞在した竹林精舎をはじめ,ビンビサーラが幽閉されたとされる獄跡がある。また旧城の東方には霊鷲山(りようじゆせん)が,西方にはバイバーラ丘が位置する。…
※「竹林精舎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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