改訂新版 世界大百科事典 「竹豊故事」の意味・わかりやすい解説
竹豊故事 (ちくほうこじ)
浄瑠璃とくに竹本座,豊竹座の歴史と太夫の芸評などの書。浪速散人一楽(一楽子)著,1756年(宝暦6)刊,上中下3巻。竹豊両座のそれぞれひいき連中が筑越翁と呼ばれる物知りから話を聞くという形式で本文に導入するのは《今昔操年代記(いまむかしあやつりねんだいき)》に似ているが,内容ははるかに系統立てて整理されており,記述も詳細にわたっている。上巻は奈良の薪能から芝居の始まりを説き起こし,古浄瑠璃各派を経て初代,2代の竹本義太夫まで。中巻は豊竹座の起りから両座の流れと太夫の芸評,浄瑠璃の語り方,五段続きの役場の意味など。下巻は作者,三味線,人形について概説している。著者は《外題年鑑》の作者でもある。
執筆者:山田 庄一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報