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薪能 たきぎのう

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

薪能
たきぎのう

(1) 奈良興福寺の修二会 (しゅにえ) の薪献進に始る神事能。古くは大和猿楽 (さるがく) の4座の太夫がつとめ,江戸時代には観世を除く3座がつとめた。明治以後は断絶したが,いまは復活して,5月 11,12日に南大門跡の般若の芝で各流による能が行われている。

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デジタル大辞泉の解説

たきぎ‐のう【薪能】

奈良興福寺修二会(しゅにえ)の際、大和猿楽四座によって夜ごと薪をたいて演じられた神事能。幕末で廃絶したが、近年復興し、5月11日・12日に行われる 夏》
夕方から夜にかけ、野外で薪をたいて行われる能。1をまねて戦後興ったもので、多くの社寺で行われる。
[補説]書名別項。→薪能

たきぎのう【薪能】[書名]

立原正秋短編小説。昭和39年(1964)「新潮」誌に発表。

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百科事典マイペディアの解説

薪能【たきぎのう】

奈良興福寺で2月の修二会(しゅにえ)に,諸神勧請のために焚(た)く薪をとる神事に付随して7日間行われた野外能。室町時代にはすでに行われていた。明治には衰退したが,第2次大戦後再興され,現在は5月11,12日に行われている。
→関連項目大和猿楽

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世界大百科事典 第2版の解説

たきぎのう【薪能】

奈良興福寺の修二会(しゆにえ)に付した神事猿楽で,薪猿楽,薪の神事とも称され,東・西両金堂,南大門で数日間にわたって行われた。《尋尊御記》には〈興福寺並びに春日社法会神事〉,《円満井(えんまい)座壁書》には〈御神事法会〉,世阿弥の《金島書(きんとうしよ)》には〈薪の神事〉などと記されている。薪猿楽執行の初めは明らかではないが,平安中期ころと推定される。世阿弥の《風姿花伝(ふうしかでん)》神儀に,〈大和国春日御神事相随申楽四座〉とあり,興福寺の修二会には大和猿楽が参勤の義務を負っていたことが知られる。

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大辞林 第三版の解説

たきぎのう【薪能】

神事能の一。陰暦2月6日から一週間、奈良興福寺の修二会しゆにえの際に四座の大夫によって演じられたもの。幕末に廃れたが復興され、5月11、12日に行われる。また、諸社寺などで夜間にかがり火をたいて行う野外能をもいう。 [季] 夏。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

薪能
たきぎのう

(1)奈良・興福寺の修二会(しゅにえ)の際の薪献進に始まる神事能。仏法の守護神を迎えるための聖火の薪の採取に伴う芸能で、薪猿楽(たきぎさるがく)、薪の神事とも称された。始まった時期についてははっきりしないが、13世紀なかばと推定される。能の始祖、観阿弥(かんあみ)が2月であれば永代参勤を寺と約束し、世阿弥(ぜあみ)は「一年中の御神事始めなり」と書いている。興福寺を母胎として発達した金春(こんぱる)、観世(かんぜ)、宝生(ほうしょう)、金剛(こんごう)の四つの座にとって、なによりだいじな行事であった。能が江戸幕府直属となってからは、観世座は出勤が免除され、他の座も二座交替制となった。2月5日の「呪師(しし)走りの翁(おきな)」に続き、6日から晴天7日間の演能が行われたが、明治維新や第二次世界大戦で一時とだえたこともあった。今日では5月11、12日に、元南大門の前の般若(はんにゃ)の芝で、古式にのっとり僧兵姿の執行役の進行により行われる。同時に春日(かすが)大社では「呪師走りの翁」、春日若宮では「御社上(ごしゃのぼ)りの能」が舞われ、能の古い伝承の姿を今日に伝えている。
(2)薪能を称する野外能が盛んになったのは、第二次世界大戦後の新しい傾向で、1950年(昭和25)京都・平安神宮の「京都薪之能」以来のことである。この傾向は現在では全国の100か所以上の都市や寺社に広まって定着している。夏の納涼を兼ねた催しとして、なかには1万人を超す観客を動員する例もある。姫路城や島原城、あるいは熊本の水前寺公園、三保松原(みほのまつばら)、新宿御苑(ぎょえん)などの名勝を背景とするものもあるが、明治神宮、大宮の氷川(ひかわ)神社、東京の浅草寺、福岡の護国神社、鎌倉の大塔宮など、神社、仏閣に奉納の形をとることが多い。レーザー光線とシンセサイザーによるエレクトロニクス薪能が催されたり、ビルの林立する都市空間の薪能、あるいは遊園地の野外劇場が用いられるなど、新機軸の薪能、ショーとしての薪能も増えつつある。海外でも、バチカンの法王の別荘、あるいはパリのエッフェル塔の下の公園などでも薪能が催された。[増田正造]

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世界大百科事典内の薪能の言及

【修二会】より

… 興福寺の修二会は,修円の弟子寿広により870年(貞観12)に西金堂で始行せられ,1027年(万寿4)には東金堂でも行われた。西金堂修二会には大和猿楽四座による薪(たきぎ)能が奉納され,能楽史上における意義は大きい。なお現在では薪能は修二会とはベつに,5月に催される。…

【大和猿楽】より

…この四座がやがて近江,丹波等の近隣諸座に対して優位に立ち,能の隆盛に中心的な役割を果たすのだが,その大和猿楽の歴史は平安時代にまでさかのぼる。すなわち,興福寺の修二会(しゆにえ)に付随する催しで,大和猿楽が幕末まで参勤の義務を負っていた薪猿楽(たきぎさるがく)(薪能)は,平安中期の万寿年間(1024‐28)以前の始行と推定されるから,大和猿楽の活動はそのころからのことになる。その後,1136年(保延2)に始まった春日若宮祭にも当初から猿楽の出勤が継続して認められる。…

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