新潟県の郷土菓子。粳米(うるちまい)と糯米(もちごめ)の粉を等量に混ぜ、熱湯でこねた餅(もち)にアズキのつぶし餡(あん)をくるみ、俵形につくる。これをクマザサの葉で包み、数個を一束にして蒸し上げる。クマザサの香気が餅に移り、すがすがしい風味である。ヨモギの葉をすりつぶし、粉に混ぜてこねた餅は春先の味わいだが、ヨモギとクマザサの香りがいっしょになり、田舎(いなか)の手作り的な野趣がいっそう強まる。形状からいえば笹餅ともいえるし、粽(ちまき)の一種でもある。しかし『料理物語』や『本朝食鑑』によると、笹餅はいろいろにちぎったもので、花の形や芋(いも)の形をしたものもあった。また『和漢三才図会(ずえ)』には、ササの葉のごとくにつくったので笹餅としており、餅をササでくるんだという説明はない。「ササ」は小々(ささ)の意であったかもしれない。新潟の笹団子には粽の手法と小さな餅の意の合成がみられるが、本来は腐敗を防ぐササの効用を利用した家庭の保存食でもあった。
[沢 史生]
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