一般に,加入時の診査を省略した月払い,または週払いの集金体制をとる小口保険をいう。イギリス,アメリカの産業(労働者)生命保険industrial life insurance,ドイツの国民保険Volksversicherungがその代表的なものである。イギリス,アメリカの場合,現在では普通生命保険ordinary life insuranceにも月払いが採用され,両者の違いはほとんどなくなっている。また,団体保険の普及も影響して近年は停滞している。
日本の場合には,戦前この種の保険を国家が独占事業として行い,簡易保険の名称を用いたため,国営の無診査・月払い・集金制の小口の生命保険を簡易保険と称することが通例となっている。日本の簡易生命保険は,1916年に創設されたが,簡易生命保険法(1949公布)に,〈国民に簡易に利用できる生命保険を,確実な経営によりなるべく安い保険料で提供し,もって国民の経済生活の安定を図りその福祉を増進する〉(同法1条)とあるように,国が実施する非営利の保険事業であり,郵政省簡易保険局が所管している。簡易保険契約は,国が保険契約者または第三者の生死について保険金を支払うことを約し,その対価として契約者が国に保険料を支払うことによって成立する。全国各地の郵便局に配属された保険外務員によって募集されている。現在販売されている簡易生命保険の種類には,終身保険,定期保険,養老保険(普通養老保険,特別養老保険,学資保険,成人保険),家族保険,財形貯蓄保険があり,傷害特約,疾病傷害特約を付すことができる。このうち普通養老保険が総保有契約件数の過半を占める主力商品である。
簡易生命保険は,民間生命保険会社の機能を補完し,低廉で小口の生命保険を提供することを目的としているため,被保険者1人当りの加入最高限度額が法律で定められている。しかし,それも創設当初の250円から逐次引き上げられ,現在では民間生命保険会社と競合する状況になっている。また,その結果簡易保険事業の規模は民間生命保険各会社のそれを大幅に超えるものとなっている。なお,その資産は,〈簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律〉(1952公布)に基づき運用されているが,大部分は財政投融資資金に振り向けられている。
郵政省簡易保険局が所管していた1981年より発売された〈郵便年金〉については,当該項目を参照されたい。
執筆者:朝原 健
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