紙,セロハン,ポリ塩化ビニル,布などを支持体としてその上に粘着剤を塗布したテープの総称。包装用,事務用,電気絶縁用,医療用(たとえば絆創膏)などの用途をはじめ,塗装時のマスキング,あるいは金属,ガラス,プラスチック製品の表面保護用などに広く用いられている。
粘着テープの代表的な構成は,支持体上面に粘着剤,下面には剝離(はくり)剤を塗ったものである。また支持体と粘着剤をなじませるために,たとえば天然ゴムラテックスと親水性の高分子をよく混合したものなどの下塗を施すことがある。剝離剤は巻かれたテープが使用時に軽くはがれ,かつ,粘着剤がテープ背面に残らないようにするためのもので,シリコーンやその他の界面活性剤が用いられるが,これを必要としない場合もある。粘着テープは使用後に被着体からはがしたときに,粘着剤が被着体側に残らないように,粘着剤の凝集強さと支持体粘着剤間の接着強さがともに粘着剤被着体間の接着強さより大きくなるように設計されている。
→接着 →セロハンテープ
執筆者:五十嵐 高
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
テープの片面あるいは両面に接着剤を塗布したもの。接着テープともいう。1930年ごろにアメリカのリチャード・ドルーが発明したが、日本では47年(昭和22)にGHQ(連合国最高司令部)の要請により、初めて日絆(にちばん)薬品株式会社が国産品をつくってから一般に普及した。一般には、セロファンテープというが、同社の商標が「セロテープ」であるところから、その名称が一般的になった。任意の長さに切り取って簡単に貼(は)ることができるので、書類や帳簿などの修理、補強のほかに、包装用や電気絶縁のための工業用などにも広く使われている。
用途に応じて各種サイズのものがあるが、大別して透明と不透明のものがある。一般的な透明粘着テープには、セロファンや合成樹脂をベースにしたもの、マット仕上げのもの(通称メンディング・テープ)、両面に接着剤を塗布したもの(両面粘着テープ)、包装用シールなどに用いる表面に印刷を施したもの(着色粘着テープ)などがある。不透明なものには、防水、防湿、絶縁性に優れたビニル粘着テープ、和紙やクラフト紙などをベースにした紙粘着テープ、じょうぶな布テープ、その他、紙や布でつくったガムテープなどがある。
[野沢松男]
紙,布,プラスチックフィルムなどに粘着剤を塗布したテープで,簡単に加圧するだけで接着できる.接着後も簡単にはがすことができる.粘着剤としては,用途によってゴム系,アクリル系,ビニル系が用いられ,それぞれ性能が異なる.医療用,包装梱包用,固定接合用などに用いられる.プラスチックフィルムにはポリ(塩化ビニル)がよく使われ,ポリエチレンテレフタレート,セルロースアセテート,フッ素樹脂なども用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…紙,布またはプラスチック膜の片面に粘着性の基剤を塗布した細長いテープで,傷口の接合,圧迫,ガーゼの固定,関節の固定などに用いられる。皮膚に対する刺激性が少ないので貼付してもかぶれにくく,かつ粘着力が強いので体動などで生ずる張力に抗することができる。通常通気性がなく,貼付した部分が蒸れることが多いが,プラスチック膜に小さな孔を開けて通気性をよくしたものもある。傷口の接合用には,あらかじめ滅菌されたプラスチック製のものがあり,圧迫用には伸縮性のある布製のものもある。…
…広い意味の接着剤をテープに塗布してつくった接着性のテープと理解されているが,たとえばセロハンテープのように粘着剤を用いた粘着テープを指す場合が多く,ガムテープのように,使用後に接着剤が固化して接着が完成する種類の本来接着テープと呼ぶべきものは少ない。なお,接着剤をテープに塗布してつくったものでなく,合成樹脂系の接着剤をフィルム状にして固化反応を少し進め,形状保持性を与えたものを被着体の間に挟んでプレス加熱して行う接着工法がある。…
※「粘着テープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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