紋下(読み)モンシタ

デジタル大辞泉 「紋下」の意味・読み・例文・類語

もん‐した【紋下】

人形浄瑠璃で、一座代表者。ふつう、太夫たゆうから出た。番付座元の紋の下に名前が書かれたのでいう。櫓下やぐらした

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精選版 日本国語大辞典 「紋下」の意味・読み・例文・類語

もん‐した【紋下】

  1. 〘 名詞 〙 人形浄瑠璃芝居で、一座を代表する最高の地位にある者の称。番付面で第一行目、座元の紋所の下にその名が書かれるところからの名称。ふつう太夫であるが、人形遣いや、三味線弾きが、代わることもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「紋下」の意味・わかりやすい解説

紋下
もんした

人形浄瑠璃(じょうるり)用語。人形浄瑠璃一座の代表者をいう。歌舞伎(かぶき)の座頭(ざがしら)にあたる語だが、番付の最初に劇場名と櫓紋(やぐらもん)(座紋)が記され、その紋の下に代表者の名を大きく書くので、この名が生まれた。櫓紋の下に書き、古くは実際に劇場の櫓の下にも名を記したので「櫓下(やぐらした)」ともよんだ。普通、浄瑠璃を語る太夫(たゆう)の第一人者がこれにあたったが、まれに三味線弾きや人形遣いがその地位につくこともあり、明治期には各部門から一人ずつ選ばれたこともあった。紋下の名は劇場の軒の中央に出す大看板にも書く。第二次世界大戦後の文楽(ぶんらく)座の紋下は、豊竹山城少掾(とよたけやましろのしょうじょう)の引退後空席が続き、現在の文楽協会に及んでいる。

[松井俊諭]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「紋下」の意味・わかりやすい解説

紋下
もんした

人形浄瑠璃芝居の総座頭の意。番付面で劇場の紋の下に記されることからその名が起った。太夫,三味線,人形遣いのすべての統率者で,通常,最高位の太夫または座元 (本) だけであったが,明治5 (1872) 年大阪松島の文楽座で初めて人形遣いの1世吉田玉造が竹本春太夫と並んで紋下となり (人形紋下) ,1883年4月には三味線の豊沢団平が紋下となったこともある。櫓下 (やぐらした) と同意語で,これは劇場の櫓の下にその名を書いた櫓看板を掲げることからその名が起った。

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百科事典マイペディア 「紋下」の意味・わかりやすい解説

紋下【もんした】

櫓下(やぐらした)

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世界大百科事典(旧版)内の紋下の言及

【キリ(切)】より

…序・破・急の原理から,5段組織の時代物では第3段(あるいは第4段)がもっとも山場となり,さらにその切場は全体の中で非常に重要なききどころといえる。したがって,3段目の切を語る太夫は最高の位の演奏家であり,一般に〈紋下(もんした)〉あるいは〈櫓下(やぐらした)〉と呼ばれる太夫がこれをうけもつ。義太夫節では長唄や他の浄瑠璃と違って,太夫1人に三味線奏者1人(相三味線(あいじやみせん))を原則とするため,1段を1人で語ることは困難であり,口・中・切と3人で分担している。…

【櫓下】より

…とくに三味線,人形の代表を加えて複数の櫓下を置いたこともある。番付の座紋の下にも名を記したので〈紋下〉ともいう。1959年,豊竹山城少掾引退のあと後任が選ばれぬまま現在にいたり,この制度は自然消滅の状態である。…

※「紋下」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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