紋を装飾模様として用いることは、すでに鎌倉時代から始まる。しかし、それは主として鶴(つる)の丸、鳳凰(ほうおう)の丸、巴(ともえ)など、吉祥的な性格をもった紋を地文風に敷き詰めるか、器物・衣装の要所に配したもので、変化に富んだ各種の紋を自由に散らした紋尽、紋散らしの出現は江戸初期(17世紀初頭)を待たねばならない。こうした紋尽には、実際使われている家紋以外に、華麗な草花、鳥獣、あるいはしゃれた器物を丸紋風に仕立てたものが含まれており、形式や色彩に変化をつけている。やがて江戸中期以後、丸紋はしだいに絵様化し、紋章形式の本来的な抽象性が希薄になり、したがって紋尽のおもしろさも損なわれていった。
[村元雄]
貨幣 (名目) 賃金額を消費者物価指数でデフレートしたもので,基準時に比較した賃金の購買力を計測するために用いられる。こうしたとらえ方は,名目賃金の上昇が物価の上昇によって実質的には減価させられている...