(読み)シン

デジタル大辞泉 「紳」の意味・読み・例文・類語

しん【紳】[漢字項目]

常用漢字] [音]シン(呉)(漢)
身分教養のある人。「紳士紳商貴紳田紳
[補説]原義は、高官礼装に用いる太い帯。

しん【紳】

昔、中国で、高位高官の人が礼装に用いた幅の広い帯。おおおび。

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精選版 日本国語大辞典 「紳」の意味・読み・例文・類語

しん【紳】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中国で、朝服着用の際に用いる帯。余りは垂らして飾りとする。高貴な家柄の人などが正装をする時に用いたもの。おおおび。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
  3. 地位が高く教養があり、人格がすぐれた人。貴紳。紳士。

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普及版 字通 「紳」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] シン
[字訓] おおおび

[説文解字]

[字形] 形声
声符は申(しん)。申はものを束ねること。申束する意がある。〔説文〕十三上に「大帶なり」とあり、大帯には素また練を用いた。〔詩、衛風、有〕の〔伝〕に「帶は衣を申束(しんそく)する以(ゆゑん)なり」、〔礼記、少儀、注〕に「帶は自ら結束する以なり」という。〔論語、衛霊公〕「子張、(こ)れを紳に書す」とは、大帯の垂れた余りの部分に、孔子の語を急いで書きとどめたことをいう。

[訓義]
1. おおおび、礼服の大帯、その余りを三尺垂れる。
2. つかねる。

[古辞書の訓]
名義抄〕紳 ノブ・モノヌフ 〔立〕紳 モノヌフ・オホオビ・オホキヌ 〔字鏡集〕紳 オビ・オホオビ・ツカヌ・ノフ

[語系]
紳・申・伸sjienは同声。展tian、陳dienも声近く、みな、ものを伸展し、また重ねる意などがある。

[熟語]
紳笏・紳士紳帯紳珮紳冕紳民
[下接語]
衣紳・華紳・貴紳・郷紳・錦紳・高紳・儒紳・書紳・紳・縉紳紳・垂紳・薦紳・束紳・朝紳・廷紳・劣紳

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【帯】より


【中国古代の帯】
 古代中国には朝廷の公式儀礼服に用いる大帯(だいたい)と革帯(かくたい)があった。大帯は紳(しん)とも呼ばれるやわらかい絹の帯で,主として祭服および女子の礼服用とされた。革帯はなめし革に金銀や玉石,または亀の甲やサメの皮などの装飾をほどこしたかたい帯で,両端に金銀製金具をつけて使用した。…

【郷紳】より

…明代後半期から中国革命に至る時期の中国における地方の支配層。郷紳は田主(でんしゆ)あるいは業主(ぎようしゆ)と呼ばれた地主の一員であったが,その中でも日常的に地域社会の動向を左右する実力者であり,2,3年の任期で去っていく地方官にまさる影響力をもっていた。 朝廷に出仕する官僚の着用する大帯を紳(しん)といい,この大帯にメモ用の板(笏(こつ))をさしはさむことを縉(しん)と呼んだが,これに由来する縉紳(しんしん)という語は秦・漢以前から官僚の雅称として用いられてきた。…

※「紳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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