労働組合の組合員は通常,就業時間時には就労し,就業時間外の自由な時間を労働組合活動にあてる。これに対して,就労時間時に就労することを免除されて,労働組合の管理運営または他の労働組合との連絡折衝などの活動を行う組合員がおり,これを組合専従者(または在籍専従者)と呼ぶ。組合専従者の範囲は,労働協約その他労使間協定によって合意され定められる。執行委員長,副執行委員長および書記長の組合三役(〈組合役員〉の項参照)の範囲に限る例が多いが,組合の規模,上級機関(たとえば組合中央本部)と下級機関(たとえば支部組合)の別などの事情によって,範囲の取決め方は変化する。また上部団体(ナショナル・センターや単産)へ役員派遣の場合を,この範囲に含めることがある。なお,同一組合員の専従継続期間の長期の限界を定める例も少なくない。
組合専従者は従業員籍を保有するが,就労しないのであるから使用者に対する賃金請求権を発生しない。したがって専従手当は組合財政のなかから賄われなければならない。福利厚生面では組合専従者の利用権を保障したり,専従期間を会社勤続年数(退職金や勤続給,昇進昇格に影響する)に通算するなど,労働条件面の便宜を図る待遇例は多い。しかし専従手当が多額になると組合財政を圧迫するので,組合役員を正式な組合専従とせず,賃金の支払を行いつつ組合業務従事を黙認または承認している例もある。これを〈やみ専従〉というが,不当労働行為の経費援助(労働組合法7条3号)にあたることは論をまたない。
執筆者:渡辺 裕
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労働組合の活動に専念する者。使用者により従業員としての身分が保障されながら、一定期間組合活動に専念する在籍専従者と、それ以外の非在籍専従者(離職専従者)とに分けられる。一般には前者をさす。在籍専従制度は、企業別組合という日本特有の組織形態に密着し、労働組合の団結権・組合活動の保障の一環としてその制度化をみたものであり、法文化はされていないが、労働協約に基づき使用者が承認する形がとられている。在籍専従者の期限は、当初は組合の自主性にまかされ、賃金も使用者から支給されていた。しかし、1949年の改正労働組合法(昭和24年法律174号)では有給在籍専従制を禁じ、以来、専従者の給与は組合側が支払うことになり、使用者との関係でも休職扱いとするのが慣行となった。なお、公務員の場合、在籍専従者には民間とは違う制限が加えられている。すなわち、68年(昭和43)のILO第87号条約批准に伴う関係国内法の改正により、在籍専従者は当局の許可制となった。専従期間は5年とし、専従者を休職扱いとする一方、退職手当の算定の基礎となる勤務期間に算入しないことになっている。
[吉田健二]
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