組織スラック(読み)そしきスラック(その他表記)organizational slack

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「組織スラック」の意味・わかりやすい解説

組織スラック
そしきスラック
organizational slack

成功している組織が,本来の目的を達成するために必要な資源よりも多くの資源を蓄積していることで,このような余剰資源をいう。一般に「たるみ」とか「ゆるみ」を意味するスラックを組織について用いる場合で,組織の保有する資源の「ゆとり」を意味する。具体的には,内部留保や工程間在庫などがそれに当たるが,情報資源にもスラックがある。たとえば職務権限クロスオーバーや,類似製品の並行開発などは一見無駄に見えるが,情報の冗長性を圧縮せず,「ゆらぎ」を持ち続けることにより,変革への自己組織化を促す効果がある。組織スラックには,部門間の調整の必要性を削減するだけでなく,イノベーションを促進する効果もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「組織スラック」の意味・わかりやすい解説

組織スラック
そしきすらっく
organizational slack

企業などの組織にとって利用可能な資源(貢献)と、組織の存続にとって必要な支払い(誘因)の差額(残留資源)をいう。スラックとは「緩み」「たわみ」を意味し、環境が良好であれば組織スラックが生じる。それは、過剰投資、過剰配当、余裕人員などの形をとる。環境が厳しくなれば、組織はスラックを収縮させて存続を図る。組織スラックは、企業行動理論で用いられる概念の一つで、組織の行動を説明する変数の一つである。

[森本三男]

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