総構（読み）そうがまえ

精選版 日本国語大辞典

そう‐がまえ ‥がまへ【総構】

〘名〙 城・砦(とりで)や、ある地域の周囲に築いたかこい。また、その内部の総称。総ぐるわ。

※謡曲・山姥（1430頃）「山姥には山中の総構へに建てたる木戸がなると申す」

※浄瑠璃・曾我会稽山（1718）二「見あぐる寺の惣がまへ数十丈に山そびへ」

出典　精選版 日本国語大辞典

山川 日本史小辞典 改訂新版

総構
そうがまえ

惣構・総堀・惣堀・総郭(そうぐるわ)とも。戦国期～近世で，城下町を囲い込んだ堀や土塁による防御施設。「町口大堀」とよばれた織田信長の清須城や後北条氏の小田原城の総構は名高い。関東の外張(とばり)，東北地方の町郭(まちくるわ)も同様の施設。武家屋敷のみのものや町屋まで囲んだものなどいくつかに分類される。都市の特権の範囲を明らかにし，兵農分離を推し進めるのに役立った。戦いがなくなると，城下の空間的発展を妨げることにもなったので，関ケ原の戦以降採用されなくなった。

出典　山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」