纒向遺跡(読み)まきむくいせき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「纒向遺跡」の意味・わかりやすい解説

纒向遺跡
まきむくいせき

奈良県桜井市辻・太田・東田,巻向山に発する巻向川が形成した扇状地一帯に占地する弥生時代後期から古墳時代前期の古墳群を含めた大集落遺跡。川に区切られた自然堤防上ごとに単位となる集落が営まれた。 1971年以来,橿原考古学研究所および桜井市教育委員会による数次にわたる調査が実施され,祭祀にかかわる巨大な土坑群,それに伴う仮設建築物,矢板列の護岸工事・集水施設を伴う幅 5mの大溝2条等が検出されている。出土した多量の土器は弥生後期~古墳前期の編年指標となっただけでなく,異常に高い比率で他地域から搬入された土器を含んでおり,東海や九州に及ぶ広範な地域間交流をうかがわせ,当地の首都的な機能が想定されている。当遺跡の消長は,石塚をはじめとする纒向古墳群箸墓古墳,渋谷向山 (伝景行陵) ,行灯山 (伝崇神陵) などの付近の巨大古墳の動向と軌を一にし,それ以後急速に衰退している。大和政権の成立基盤を考える上で最も重要な遺跡である。なお,96年 12月,纒向石塚古墳発掘調査をしていた桜井市教育委員会は,出土した土器の年代から,石塚古墳は3世紀前半に築造されたものと発表し,邪馬台国との関連注目を集めている。

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