箸墓古墳(読み)ハシハカコフン

デジタル大辞泉 「箸墓古墳」の意味・読み・例文・類語

はしはか‐こふん【箸墓古墳】

奈良県桜井市にある前方後円墳。長さ278メートル。3世紀後半の築造とされ、最古古墳の代表例。

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共同通信ニュース用語解説 「箸墓古墳」の解説

箸墓古墳

邪馬台国やまたいこくの有力候補地・纒向まきむく遺跡(奈良県桜井市)にある最古の大型前方後円墳で、全長約280メートル、後円部の高さ約30メートル。3世紀中ごろから後半の築造とみられている。後円部の直径が約150メートルで、古代中国の魏志倭人伝の「倭国わこくの女王卑弥呼の墓は径百余歩」という記述とほぼ一致することから、卑弥呼の墓説もある。被葬者をめぐっては卑弥呼の後継者・台与とよ(壱与いよとも記す)や初期ヤマト王権の初代大王との見方もあるが、宮内庁孝霊天皇皇女倭迹迹日百襲姫命やまとととひももそひめのみことの墓として管理している。

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精選版 日本国語大辞典 「箸墓古墳」の意味・読み・例文・類語

はしはか‐こふん【箸墓古墳】

  1. 奈良県桜井市にある前方後円墳。全長二七三メートル。散乱土器や墳型の特異さから、古墳時代開幕の三世紀後半の築造とされ、倭日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと)の墓に治定されている。

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国指定史跡ガイド 「箸墓古墳」の解説

はしはかこふん【箸墓古墳】


奈良県桜井市箸中にある古墳。箸中山古墳ともいう。纏向(まきむく)遺跡にある箸中古墳群の盟主的な存在で、3世紀半ばすぎに築造されたと考えられる前方後円墳。現在は宮内庁により、孝霊(こうれい)天皇の皇女、倭迹迹日百襲姫命大市墓(やまとととひももそひめのみことのおおいちのはか)として管理されている。墳丘長約278m、後円部径約150m、高さ約30m、前方部幅約130m、高さ約16mで、前方部が途中から撥(ばち)形に大きく開いた最古級の墳形をしている。後円部は4段築成で、その上に小円丘が載っていると考えられ、こうした5段築成は箸墓古墳だけのものである。裾には幅10mの周濠があり、さらに外側に幅15m以上の外堤がめぐっていたことが確認されている。特殊器台や布留(ふる)式土器の出土から、古墳時代前期初頭の築造は間違いがなく、248年ごろに死亡したとされる卑弥呼(ひみこ)の墓ではないかという推測も出されている。JR桜井線巻向駅から徒歩約10分。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「箸墓古墳」の解説

箸墓古墳
はしはかこふん

奈良県桜井市箸中にある古墳前期初頭の前方後円墳。大市墓(おおいちのはか)ともよばれ,倭迹迹日百襲姫(やまとととひももそひめ)の墓との伝承がある。奈良盆地東南部に突出した低丘陵先端に営まれる。墳長276m,後円部径156m,前方部幅132m。前方部端が撥(ばち)状に開く特徴をもち,前方部4段,後円部5段の築成で葺石(ふきいし)がある。周濠の痕跡が前方部北側に一部認められる。未調査のため,内部構造や副葬品は不明。墳丘からは岡山県都月坂(とつきざか)1号墳出土の都月型器台と共通する特殊器台形埴輪・特殊壺形埴輪・壺形埴輪片が採集され,大きな問題を投じた。隣接して古墳前期の大集落纏向(まきむく)遺跡があり,前方後円墳の祖型とも考えられている前方後円形の纏向石塚古墳などが点在する。多くの三角縁神獣鏡が出土した京都府の椿井(つばい)大塚山古墳と墳丘外形の特徴が共通することも指摘される。初期の前方後円墳として規模・形状ともに注目され,背景にある初期大和政権の成立の問題にかかわる古墳である。

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百科事典マイペディア 「箸墓古墳」の意味・わかりやすい解説

箸墓古墳【はしはかこふん】

奈良県桜井市にある3世紀後半の前方後円墳。全長約280m。前方部の平面形が撥(ばち)形に開く形状をもつことや,後円部の墳頂部から出土している円筒埴輪・特殊埴輪の型式から初現期の前方後円墳と考えられている。《日本書紀》には倭迹々百襲姫命(やまとととももそひめのみこと)の墓として箸墓築造の記述がある。陵墓として宮内庁管理下にあり,学術調査は行われていない。
→関連項目纏向遺跡

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旺文社日本史事典 三訂版 「箸墓古墳」の解説

箸墓古墳
はしはかこふん

奈良県桜井市にある日本最古級の古墳時代の前方後円墳
3世紀後半に築造され,墳丘の全長約280m。前方部がばち形に広がる形態や特殊器台形埴輪をもつことなどから,定型化した最初の前方後円墳と評価されている。被葬者は倭迹迹日百襲姫命 (やまとととひももそひめのみこと) といわれ,宮内庁が管理している。

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