デジタル大辞泉 「美しい村」の意味・読み・例文・類語 うつくしいむら【美しい村】 堀辰雄の小説。昭和8年(1933)から昭和9年(1934)にかけて新聞や雑誌に発表した作品をとりまとめ、昭和9年(1934)に刊行。軽井沢の自然を背景に、精神の危機から脱出していく小説家「私」の姿を描いた私小説風の作品。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
改訂新版 世界大百科事典 「美しい村」の意味・わかりやすい解説 美しい村 (うつくしいむら) 堀辰雄の中編小説。1933年(昭和8)から34年にかけて《大阪朝日新聞》《改造》《文芸春秋》《週刊朝日》に分載。34年,野田書房刊。〈序曲〉〈美しい村(或は小遁走曲)〉〈夏〉〈暗い道〉の4章より成る。初夏から盛夏にかけてのある高原の避暑地を背景に,失恋によって傷ついた心を抱く青年作家〈私〉が,美しい自然に囲まれた村での生活や新しい恋人の出現などによって,しだいに生きる勇気をもつに至る過程を描いた作品で,周囲のものごとの推移やそれらによってひき起こされる〈私〉の意識の微細な変化の有様を,プルーストに学んだ柔軟で清新な文体によって表現したところに特徴がある。執筆者:池内 輝雄 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報