考信録(読み)コウシンロク

デジタル大辞泉 「考信録」の意味・読み・例文・類語

こうしんろく〔カウシンロク〕【考信録】

中国古代史実伝説を、文献批判方法で考証した書。36巻。清の崔述さいじゅつ撰。1824年刊。

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精選版 日本国語大辞典 「考信録」の意味・読み・例文・類語

こうしんろくカウシンロク【考信録】

  1. 中国の史評書。三六巻。清の崔述東壁)撰。死後道光四年(一八二四)刊。儒教歴史中心に、古代の史実や伝説を文献の批判によって考証したもの。明治年間(一八六八‐一九一二)中国より先に日本で高く評価され、その後胡適・顧頡剛(こけつごう)らの擬古派影響を与えた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「考信録」の意味・わかりやすい解説

考信録
こうしんろく
Kao-xin-lu

中国,清代中期の古代史研究崔述の代表的著書。 36巻。崔述の死後,道光4 (1824) 年に弟子が『崔東壁先生遺書』として刊行。中国の古典には,三皇五帝伝説をはじめ,にわかに信じがたい記録が少くないため,伝説や記録に対し批判的研究を試みたもの。当初読書人注目をひかず,20世紀に入って胡適らによって注目されるようになった。

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世界大百科事典(旧版)内の考信録の言及

【崔述】より

…幼時より父崔元森に朱子学を学び,15歳のとき,大名府知事の朱瑛にその学才を見いだされ,23歳まで朱瑛らの教えを受けた。35歳を過ぎ,秦・漢以来の儒家の経書の注釈には,経書の本文と,あるいは注相互の矛盾があり,また孔子など昔の聖賢の行為として伝えられるものにも矛盾があることに気づき,古代の歴史を知るには,経書の本文によって考えるのが正しい方法であるとして,《考信録》の著述に着手。50歳にしてまず《洙泗考信録》が成った。…

【歴史】より

…〈徴(証拠)無くんば信ぜず〉という考証学の原則をつきつめていくと,その根底にある儒教的理念を自ら疑う結果となる。崔述(1740‐1816)の《考信録》は儒家の一部の経典に依拠して他の経書および諸子百家に史料批判を加えた。清末の政治改革家康有為は,崔述に一歩を進めて,儒家経典に記載する黄帝・尭舜・夏殷周三代の歴史は事実そのものでなく,孔子がその理想世界を述べるためのフィクションであったと主張した(《孔子改制考》)。…

※「考信録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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