大気中にさらされた鋼は表面にさび層を生ずるが,さび層の自己保護性は鋼材のおかれている環境,および鋼材の成分によって大きく変化する。耐候鋼は普通鋼に比較して大気腐食に対する耐食性が優れている低合金鋼で,耐候性の付与のためには0.25~0.55%の銅,0.07~0.15%のリン,0.3~1.0%のクロムの共同の効果が有効である。とくに少量の銅の存在は不可欠である。この鋼材はとくに亜硫酸ガスで汚染されている工場地帯などで著しい耐食効果をあげる。ある程度腐食が進んだあとに自己保護性の優れたさび層が形成される。みずから塗装する鋼ともいわれ,鉄塔,建造物,屋根などに応用され,鋼材の裸使用によって保守の手間が省けるという利点をもっている。生成するさびの色が周囲の環境と適合して美観をもたらすような用途に使われるが,保護的な安定さび層の形成が可能な条件下で使わなければならない。
執筆者:増子 昇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…低合金鋼は腐食を止めることはできないが,少量の添加元素によってさび生成の機構が変化することによって耐食性を獲得する。例としては耐候鋼(Cu‐P‐Cr鋼,Cu‐Cr鋼),耐海水鋼(Cu‐Ni‐Mn鋼,Si‐Mn‐Cr鋼),耐硫酸鋼(Cu‐Cr‐Sb鋼)などがある。ステンレス鋼(高Cr鋼,高Cr‐Ni鋼,高Cr‐Ni‐Mo鋼)は現在の耐食合金の主流をなすものであり,用途に応じた鋼種が数多く開発されている。…
※「耐候鋼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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