肛門神経症(読み)こうもんしんけいしょう(英語表記)Anal neurosis

六訂版 家庭医学大全科 「肛門神経症」の解説

肛門神経症
こうもんしんけいしょう
Anal neurosis
(直腸・肛門の病気)

どんな病気か

 肛門には何も病変がないのに、肛門に対して異常な感覚や関心をもち、思い悩み、精神的に不安定な状態になる病気です。20~30代の若い世代に多く性別は問いません。

原因は何か

 原因ははっきりせず、他人に肉体的なことで嫌なことをいわれたことがきっかけになることがあります。

症状の現れ方

 自分自身の肛門のにおいがする、おなかが張ってガスや便がもれる気がする、自分の肛門のにおいが他人にわかってしまう、自分がいるとまわりの人がくさいと噂している、など常識では考えられない訴えを自分自身が信じ込んでしまっているのが特徴です。

検査と診断

 肛門の診察胃腸精密検査をして、本当に悪い部位がないかを調べます。しかし、若い世代が中心ですからまず病変は見つかりません。

 次にノイローゼ統合失調症有無過敏性腸症候群との鑑別を行います。

治療の方法

 まず、肛門神経症という病状があることを、患者さんに教えてあげることから始まります。

 心身衛生を心がけ、便通を整え、バランスのよい食事と睡眠を十分にとることが基本です。腹部ガスの発生を抑えるような薬をはじめ、精神安定薬、抗うつ薬などで反応をみます。

 時には心療内科精神科を紹介して、カウンセリングを受けるようにすすめます。

病気に気づいたらどうする

 多くの医師は肛門神経症に関する知識がないので、まず肛門専門医をたずねてください。

松田 保秀

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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