胃・十二指腸がん(読み)じゅうにしちょうがん

四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「胃・十二指腸がん」の解説

胃・十二指腸がん

 胃がんは日本人の男女ともに多くみられるがんのひとつです。最近では早期がんでみつかるケースが全胃がんの約半数に達していて、死亡率は徐々に下がってきています。

●おもな症状

 現在は半数近くが、検診などで早期の無症状のうちにみつかっています。症状としては、併発した潰瘍などによる心窩部しんかぶ痛(みぞおちあたりの痛み)や吐血下血貧血など。

①上部消化管X線造影/腫瘍マーカー

  ▼

②上部消化管内視鏡/生検(病理診断)

 左に示した検査項目はおもなものを示してあります。また手順は、症状やがんの状態などによっては順序がかわることがあります。以下同様。

X線造影と内視鏡の組み合わせで診断

 胃と十二指腸は検査の手順が同じなので、一括してとり上げます。

 まず、最初に行われるのが上部消化管X線造影(→参照)、いわゆるバリウム検査で、集団検診でもこの方法がとられています。このX線造影だけでも、かなりの症例で診断が可能ですが、通常は上部消化管内視鏡(胃カメラ→参照)も併用して判断していきます。

 発見・治療が難しいスキルス性のがん(硬性がん)をみつけるには、内視鏡よりもX線造影のほうが有効とされています。これは、この型のがんが胃の粘膜(胃の内側のほう)にできるがんではなくて、外側に進展するがんのためです。なお、スキルス性のがんは若い女性に多く発生します。

 胃がんの腫瘍マーカー(→参照)としては、CEA、CA19-9などががんの進行度や悪性度の判定の参考として使われています。

内視鏡とともに生検を行って確定

 最近は内視鏡が進歩し、ファイバースコープ自体が細くなって、患者さんにそれほど苦痛を与えることがなくなってきたため、最初から内視鏡でチェックする場合が多くなっています。

 内視鏡でがんを疑うような病変をみつけたときは、内視鏡下で病変を少し採取し(生検せいけんという)、病理検査を行って確定診断します。

 内視鏡が胃がん診断の最終検査ですが、近年、内視鏡と超音波を組み合わせた超音波内視鏡(EUS)の検査も行われ始めました。この検査は、胃がんと診断されたのち、がんが胃壁の中にどのくらい深くまで浸潤しんじゅんしているかを調べる目的で行われます。

出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報

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