六訂版 家庭医学大全科 「胸部大血管損傷」の解説
胸部大血管損傷
きょうぶだいけっかんそんしょう
Thoracic great vessel injury
(外傷)
どんな外傷か
胸部の大血管損傷には
胸部大血管損傷は、極めて重篤であり、また緊急度も高いものです。
原因は何か
銃や刀器の所持が厳しく制限されている日本では、交通事故や高所からの墜落などによる鈍的外傷が大部分を占めます。
胸部の鈍的外傷によって大血管損傷が発生する機序(メカニズム)は、①比較的可動性のある部分と固定されている部分との間に作用する
症状の現れ方
胸部大血管が損傷されると、血管内の血液が胸腔内あるいは
胸痛、顔面蒼白、チアノーゼ(皮膚などが紫色になる)、
検査と診断
診断は、胸部外傷後の胸痛、出血性ショック症状に加え、胸部単純X線、胸部造影CT、経食道エコー(超音波)、MRI検査、大動脈造影などの検査から確定します。
治療の方法
診断が確定したら、ただちに緊急手術を行います。手術は損傷部を縫合するか、あるいは損傷部を切除して人工血管による
胸大動脈損傷の手術では、大動脈が遮断されて
最近では、損傷した大動脈内に血管内ステントを留置する治療法も開発されています。
応急処置はどうするか
出血性ショックを起こしている場合は、負傷者を
益子 邦洋
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報