肺結核に対する外科的虚脱療法の一つ。結核の化学療法の進歩によって他の虚脱療法がまったく行われなくなった現在でも、直達療法の困難な場合、あるいは肺切除後の死腔(しくう)の閉鎖や膿胸(のうきょう)の治療に行われることのある手術である。この手術は、病巣に直接手を触れることなく、罹患(りかん)肺側の上部肋骨(ろっこつ)を切除するとともに、肺剥離(はくり)を十分に加えて病巣を萎縮(いしゅく)させ、治療に導こうとするものである。
20世紀初頭には、第1肋骨から第10肋骨までを切除する全胸郭成形術(ザウエルブルフ胸郭成形術)が代表的手術であったが、その後、健康肺部はできるだけ温存し、病巣部だけを十分に虚脱させる選択的胸郭成形術(セムSemb胸郭成形術)が始められるようになった。現在の胸郭成形術では、通常4、5本の肋骨を12~13センチメートルくらい切除する。第1肋骨を切除しない術式も用いられる。
[山口智道]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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