腎性骨異栄養症(読み)じんせいこついえいようしょう(その他表記)Renal Osteodystrophy

家庭医学館 「腎性骨異栄養症」の解説

じんせいこついえいようしょう【腎性骨異栄養症 Renal Osteodystrophy】

[どんな病気か]
 腎不全(じんふぜん)(「腎不全」)にともなっておこる、カルシウムリンなどの電解質の障害、ビタミンDの活性化(からだが利用できるかたちに変えること)の障害による骨の病気です。
 腎不全が進むと、上皮小体(じょうひしょうたい)(副甲状腺(ふくこうじょうせん))という部分の機能が亢進(こうしん)したり、骨にアルミニウムがたまって、骨にいろいろな変化をおこします。
 腎不全そのものが、この病気の発症や進行に大きく影響し、長く人工透析(じんこうとうせき)を続ける場合の代表的な合併症となるので、透析骨症(とうせきこつしょう)と呼ばれることもあります。
[症状]
 腎不全によって、上皮小体ホルモンの分泌(ぶんぴつ)が盛んになり、骨の代謝が高まります。骨からカルシウムなどが溶け出す骨吸収が盛んになるため、骨形成が追いつかず、骨の融解が進行します。
 骨や関節に痛みがおこり、骨折しやすくなります。体内のカルシウムなどの分布が異常になるため、皮膚のかゆみ、筋力の低下がおこり、さらに皮膚の潰瘍かいよう)などができることもあります。
 また、ビタミンDが欠乏したり、骨にアルミニウムがたまると、骨がやわらかくなり、骨の変化が進みます。
[検査と診断]
 慢性腎不全の治療で、人工透析をしている間は、定期的に血液中の上皮小体ホルモン、カルシウム、リン、アルミニウムの測定をします。
 また、手足のX線撮影をして、骨の変化を観察します。
 副甲状腺の上皮小体機能亢進が疑われるときは、頸部(けいぶ)のCTやシンチグラムによる画像診断が役立ちます。
[治療]
 上皮小体機能亢進がある場合は、リンの体内への蓄積を防ぐ必要があり、食事療法(低たんぱく食)が重要になります。
 同じ目的から、人工透析を行なう場合に、透析液の組成や、透析膜を変えることもあります。
 このような内科的な治療でもよくならず、腫(は)れた上皮小体が確認され、上皮小体ホルモンの分泌が高いままであるときには、上皮小体を摘除します。
 また、活性化ビタミンDを服用することは、骨の軟化による痛みや骨折を防ぐのに有効です。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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